18:あのね ページ20
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『…かっちゃん』
どうしたの、なんて言葉は引っ込んだ。
静かに流れ落ちる彼の涙を見て、息がつまる。
『かっちゃん…、おいで』
管は点滴以外外されたおかげで、歩き回らなければ多少動いても大丈夫だと言われた。
若干しびれが残る腕を広げてかっちゃんを迎える。
歩み寄ってきたかっちゃんは倒れ込むように私の胸に体を預けた。
私のいない家で一人、たくさん悩んで悩み抜いていたんだろう。
声を上げて泣くかっちゃんがとても小さく感じて、切ない気持ちがこみ上げてきた。
『ごめんね、ごめん。1人で外出ないって約束したのに…。こんな風に心配かけて、悲しませて…』
もしかして私達は夫婦になるにはまだ未熟すぎたかもしれない。
もっと学ぶべきことがあったかもしれない。
『私、一瞬でも、死んでもいいと思えた。この世で1番愛してる人を置いていこうとした。ごめんね、置いていかれるのは…辛いことなのに』
そしてその涙は、もっと別に理由があるんでしょ？
病室に入ってからずっと、ごめんなさいって顔してる。
『ゆっくりでいいよ、かっちゃんの話したいこと…。私聞きたい』
体を離して目を合わせる。
まだ涙が溜まる彼の瞳は濁ってなんかいなかった。
大丈夫。まだやり直せる。
だってこの子達は生きているから。
「………俺、は…。赤ん坊たちを、見捨てようとした…」
『…うん』
「Aが無事なら、いいって。腹に子供がいたせいでこんなことになったなら、消えてくれって…思っちまった…」
『うん、』
「俺はこれから先も、子供を一番に考えられねぇ。たぶん、一生…。こんな奴が父親になる資格なんてねぇよ…っ」
かっちゃんの瞳が濁ってしまう。
心が2度と戻らなくなってしまう。
『…それは、違うよ』
ハッキリと断言した。
『私達はこれから子供に愛を注いで、正しく、優しい子に育てていかなくちゃいけない。それが親の務め。でもさ、お互いに愛して支えあって、生涯添い遂げるのはかっちゃんにとって奥さんの私なの』
かっちゃんの涙が途切れていく。
『かっちゃんがいて、この子達がいる。愛に優先順位はつきものだよ。仕方ないけど。だから私とかっちゃんの遺伝子を半分ずつもった自分たちの分身を、私の次でも愛していれば何の問題もない』
世界で２番目に好き。
一番が私ならきっと子供たちも納得してくれるよ。
かっちゃんは少し微笑んだ。
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麗葉 - かっちゃんがお父さんしてる？！夫婦揃って可愛いの極みなんですけど、、、とってもほんわかする作品をありがとうございます！ (6月7日 20時) (
レス) @page45 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 微笑ましい(笑) (2023年3月19日 4時) (レス) @page45 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
カノカノ - めちゃくちゃ面白かったです！かっちゃんが好きすぎてちょとヤバかったです。轟くんの、問題発言は笑いましたw (2021年6月25日 21時) (レス) id: 380b56bd12 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai(プロフ) - 今になって読んだ者ですぅぅ… 凄く面白かったです！かっちゃんがお父さんしてる…！ って感じでした笑 感動で何度も泣きそうになってしまいましたが何とか堪えました笑 (2020年11月3日 0時) (レス) id: 2d49307bc6 (このIDを非表示/違反報告)
たろ(プロフ) - なんかもう感動というかたくさんの感情が事故を起こしています。でも、私が今言えることは、産んだ。うん、私は子供を産んだ。誰がなんと言おうとかっちゃんとの子を産んだんだー！！！！ (2019年4月27日 2時) (レス) id: 418d22be85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと
| 作成日時：2017年4月3日 19時
