男■性■恐■怖■症【夜久衛輔】

23→地雷 ページ24

夜「………A？」









明らかに様子がおかしいA。




夜「……A、場所変え…」









変えよう。









Aの顔を覗きこんだ刹那、言葉が呑み込まれる。









うつ向いていたAは、何かに怯えるように









震える小さな手で顔を覆い、









指の隙間から見えた瞳は









赤黒く光って見えた。









夜「A……？どうした…？」









貴「………な、さ……」









ポツリ、とAは呟く。





赤黒かった瞳も、溜まった涙で霞んだ。









また頼りなくAは泣いた。









貴「ごめ、なさっ……」









……なぁ









何で泣くんだよ









それは誰を思っての涙なんだよ









怖いなら言えよ









夜「A、午後の授業はサボろうな」









そう言って見つめると、Aは静かに頷いた。








　









貴「くる、しい……」









弱々しいAの声は、とても綺麗だった。






必死に涙を止めようとする仕草は可愛かった。









何でだろうって問いかけても答えはない。









A、









何回俺が『好きだ』って言い続ければお前は泣き止む？









夜「…大丈夫」









何だか俺まで弱くなってく気がするんだ。

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