男■性■恐■怖■症【夜久衛輔】

22→喜び ページ23

夜「あとちょっと……そうそう！そのままそのままっ……っしゃぁぁぁあぁぁ！！！」









昼休みの3年4組。








賑やかで嬉々とした叫びが教室内に響いた。









夜「触れたじゃん！よくやった！今日シュークリーム奢ってやる！」









本当は頭を撫でてやりたい所だが、またもや失神するAを想像して手を引っ込めた。




0.1秒。





触れるか触れないか。



　


だけど確かに、Aの人差し指は俺の中指に当たったのだ。



熱が伝わった。確実に。









貴「さ、触れた…のか？」








夜「おう！触れた！ちゃんと暖かかったよ」









はにかむと、Aの顔はへしゃけた。




正確に言えば、力ない笑顔を、へにゃりとした柔らかい笑顔を









俺に。俺だけに見せた。









夜「………………わ、わらっ…た…」









ビックリした。






声を失ったし、ソレに思いがけずつまずいた自分がいた。









…いや、遠回しに言うのはやめよう。









『可愛かった』









夜「……なぁA」









勇気を振り絞った右手を眺めているAを呼ぶ。









俺は多分ニヤケていたかもしれない。









そんなことどうでもいい。









夜「俺さ、









　

お前のこと好きだよ」









どっと歓声があがった。








リンゴみたいに真っ赤な顔は、もう隠す必要がなかった。









貴「…………へ、？」









なんだ、Aも同じ気持ち？









夜「顔…真っ赤」






貴「〜〜ｯ」









照れてそっぽを向く。








あぁもう。可愛いなぁ。









茹で上がった耳にそっと囁く。









夜「Aは…誰が好き？」









その言葉に

真っ赤だった耳は、血の気が引くように








紅はもうさしていなかった。

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