男■性■恐■怖■症【夜久衛輔】 (ページ16)

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夜「じゃぁ、帰ろうか」

貴「…私、一人で帰れる…」

夜「いや、だって8時だぞ？十分暗いじゃん」

なかなか進まないAの手をひっぱ……

ろうとするが、避けられる。というより逃げられる。何て言うか、こう…必死に。

夜「…A…」

貴「いやっ…！早く帰って！」

夜「…………」

駄々をこねるA。
目に涙を溜めて、うつむいてしまった。

怖い…かな。やっぱり俺、強引すぎるかな。

震える肩に、俺まで眉が下がってしまった。

夜「……A………あ！」

思い付いたように掌を出す。

Aに向けて広げると、小さく声をあげた。

貴「………な、に……」

顔を真っ青にし、後ず去る脚を落ちつかせるため笑顔をつくる。

するとAは少しだけホッとしたように目尻を下げた。

大きく息を吸い、吐き出す。

　

夜「明日から、『夜久衛輔による男性恐怖症治療教室』を行う！」

.

.

.

貴「………は？」

………うん、まぁ。そんなような反応だとは思ったけど。

傷つくなぁ、コレ。

目を丸くして此方を見るAは、唖然としていた。
何を言ってるんだコイツは、と。

夜「つってもそんなハードなのはやんねーよ。まずは握手からだ」

もちろん俺とな？と付け加える。

自分で言っておいて、何だか照れ臭くなって頭を掻く。

…カッコ悪いな、俺。

もちろんAの反応は

貴「………やだ……」

の一点張り。

夜「いや…大丈夫だよ。別に黒尾とかとやれって訳じゃないし…」

貴「い、いやっ」

夜「大丈夫だよ！」

貴「いやっ！」

夜「だーかーらーっ」

貴「ひっ！？」

勢いに任せて怒鳴ると、Aはまた縮こまった。

しまった…と思う反面、心地良い背徳感が押し寄せる。

何だ、コレ……

何となく、視線を下に落とす。

そこには、Aの白くて綺麗な太股があった。

夜「～～～ｯ」

体がゾワゾワする。

涙を溜めた目が、余計にソレを逆立てた。

夜「ｯじゃ、じゃぁっ…明日訓練するからな忘れんなよ！」

貴「ぁっ……待っ…」

俺は勢いよくその場を飛び出した。
可笑しなものが現れて、それから逃げるように。

そのせいで、Aが溢した本音など聞こえなかった。