788 ページ29
hiro「これ着てください」
突然、目の前に差し出された。
A「え？あ…ツアーTシャツ？待って、あの…」
意図が分からないし、着るならちゃんと買うし。
困ってる私を見かねたのか、寛樹くんが微笑む。
hiro「…言わないでおこうと思ったんですけど。いま着てるの、兄さんのですよね？」
あ…えっ、なんで…
うなずく。
hiro「ほら、好んで着てるでしょ？毎回。うちのファンもけっこうそういうのに敏感なんで。同じシャツ着てる！って…注目されちゃうかも」
ね？って首をかしげる寛樹くん。
…これって間違ったら。
A「…匂わせになる？ってこと？」
ふふっと笑って
hiro「んー。同じの持ってる人もいると思うから。匂わせではないと思います(笑)。ただ…ここに来てくれたんだから…これ、着てほしいなって」
少しはずかしそうに…かっこいーでしょ？と
見せてくれる。
…なんか、やっぱり。
A「似てる…(笑)。兄弟だね」
二人に接してみて、根幹は同じだって思って。
思わず口にしていた。
hiro「…どこが？顔も似てないし。声？」
ちょっとだけ…ムッとされちゃったかな。
A「寛樹くんも、Sでしょ？絶対！ね？」
は？って顔の後、苦笑いされる。
hiro「…お姉さんって呼ぶの、やめよ」
急にそんなことを言うから。
なんだかちょっと、拗ねたみたいに…ふふ。
A「どうぞ。名前でもいいよ。お兄ちゃんには内緒でね？ひろくん♡」
ちょっとからかうつもりで。
貴寛さんの大切な弟なんだもん！かわいいよ！
hiro「A…はやめて、A、ちゃん？」
へっ…
少し低い声が、私を呼んで。
そっと手を取る。
hiro「みんなに紹介するね。義理のねーちゃんだって。いいよね？行こ！」
勢いよく部屋を飛び出して。
メンバーさんのいる部屋へと歩く。
…貴寛さんを思い出した。
声が似てるんだもん…ところどころ、似てる…
なんだか急に、貴寛さんに会いたくなった。
渡されたTシャツを手にしたまま、歩く…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆず | 作成日時：2018年6月11日 0時
