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そんな気がして〜レンside〜 ページ46

「…来ちゃったし。」


あれからAが寝付いたのを確認した俺は、狐鉄に会える…そんな気がして、泉のほとりまで来ていた。


「…」


昔のことを思い出す。


ここにくるのも随分久しぶりだけど…道ははっきりと覚えていた。


「…狐鉄。」


もちろん反応があるわけがなく…


…でも。


「…てっちゃん。」


出会った頃の呼び方で呼んでみる。
そうすれば…俺があんなひどいことを言う前の狐鉄と、話せるような気がしたから。


そして…

「…久しぶりだね。」


俺はそこに声をかける。


「…」


返事はない。
俺のすぐ横には、まっすぐ前を見据える、小さな狐の姿。


彼はいつも、そうやって登場した。


「…変わっていないね。」


俺がそう言うと、狐は森の中へと駆けて行った。
居なくなるわけじゃない。ただ…話す手段を取りに行っている最中、って言うのかな。


「…気まぐれかい?」


「…いや、確信。」


「…そう。」


瞬間移動したように、俺の背後に現れた人間の姿の狐鉄。
まるで何事もなかったかのように話すけど…俺にはなんだかそれが重荷で。


「ごめんな…狐鉄…。俺ひどいこと言った…。」


「…かまわないよ。ただ…君は僕が嫌いかい?」


どこか不安そうに、寂しそうに尋ねてくる狐鉄。
俺はそれにブンブンと首をふった。


「嫌いじゃない!…狐鉄は俺の…初めての友達だから…。」


「…君も。…君も、僕の最初で…そして最後の友達。会えて嬉しいよ。」


珍しく感情を言葉で表す狐鉄。
俺が目を丸くしていると、狐鉄はつま先で立って俺を見た。


「背、伸びたね。」


「あぁ、この前も言われたよ。」


俺が笑ってみせると、狐鉄は寂しそうに言う。


「君はもう…子供じゃないんだね。」


「…??狐鉄はちがうのか?」


「狐は年をとるのがゆっくりだからね。君にはもう追いつけそうにない。」


狐鉄が泉に目を向けたその時、見知らぬ人のの声が聞こえた。


「こーてつ。だめだっていったじゃない。」

その声に狐鉄はびくっと振り返る。


俺も揃って振り返ると、そこにはリンによく似た…化け狐。


「蘇芳狐…!」


狐鉄は何かに怯えたように目を見開き、俺と彼女の間に割って入った。

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リリア - Aです! (2018年4月17日 15時) (レス) id: a20dd5bbf7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう( ´・ω・` ) - ゆまさん» マジですか?!嬉しすぎて涙 (2012年8月29日 13時) (レス) id: 8355c5a42e (このIDを非表示/違反報告)
ゆま - おもしろすぎる!この前泣いちゃった (2012年8月22日 16時) (レス) id: 30cd8e5dcf (このIDを非表示/違反報告)
ゆう( ´・ω・` ) - うっさ さん» がんばるー!!ありがとうっ(`・ω・´) (2012年8月18日 12時) (レス) id: 8355c5a42e (このIDを非表示/違反報告)
うっさ  - 続編頑張ってー!>∀<ノシ (2012年8月18日 10時) (レス) id: a651d170d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆう( ´・ω・` ) | 作成日時:2012年7月31日 13時

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