先輩 ページ22
knside
「俺の私情で彼奴らを傷つけたくない！！！」
黒の視界の中、彼との思い出が頭に浮かんでは弾け、浮かんでは弾け、消えていく。
俺は、冷たい人間だった。慈悲もなく目の前の敵を赤に染める俺を味方である者さえ恐れた。
感情がないように思われたかもしれない。いや、実際そうだったのだ。感情を殺して剣を振るっていたから。
そんな俺を1人の人間として接してくれたのが彼だった。
ショッピ
ポーカーフェースで何を考えているかわからない生意気なやつ。
不安だった。本当に俺のことを好いているのか、情けではないのか。俺が連れ回しているだけで楽しくないのではないか。そう考えるうちに仕事が忙しいからと自分に嘘をついて彼奴を避けるようになった。
だから、この数日で彼に何があったのかわからない。
悔しい、彼をすぐに信じてやれない自分を軽蔑する。
唯一無二の可愛い後輩。
でも、俺の隣を歩いてくれる仲間も同じように愛おしい。
俺は、どちらを向けばいいのだろうか。
全員命に代えても守りたい大切な存在だ。
Aは柔らかく笑った。俺が言わずとも俺の気持ちを読み取ったかのように。
『傷つける？バカですね、貴方は。俺たちが負けるとでも？』
彼の瞳があまりにも強い光に溢れていて思わずハッとした。
俺の仲間は強い。どこの誰よりも、ずっと。
『信じろよ、貴方が見てきた彼を、後輩を。ともに戦ってきた俺たち仲間を。』
安心して信じろ、あんたの背中は守ってやる。
だから、あんたが一番、ショッピを信じて待っていてくれ。
隠れていた月が顔を出した。青白い光のカーテンは濁っていた視界を晴らすように俺たちを照らした。
(そうや、俺が信じんでどうすんねん。俺は彼奴の先輩やぞ。)
彼の琥珀の瞳が俺を見据えるとそれから力強く頷いた。
『貴方の為にも、ショッピを救い出します、絶対に。』
「あぁ、俺の後輩を任せたで。」
拳と拳を合わせる。心地よいコツンという音がなった。
そして彼は俺に背を向けた。その背中に言葉を投げる。
「生きて帰ってこい、“2人”で。お前を、ショッピを信じて待っとるから。」
彼は一瞬止まると手を裏口へと伸ばし城を出て行った。
門には静寂と俺1人が残った。
(『帰ってきたら教えてください、なぜ彼が_______。』)
逃げるのはもうやめよう、彼奴と話して、向き合わなあかん。
「2人が息をして帰ってこれますように。」
俺も背を向け城に向かって歩き出した。
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たるる(プロフ) - ライ@Mallowさん» コメントありがとうございます！！！なんと嬉しい応援のお言葉！嬉しすぎて口元が緩んでしまいました(o^^o)これからも更新していくのでぜひ楽しんでください！ (2021年9月7日 22時) (
レス) id: 6b45a8b4d9 (このIDを非表示/違反報告)
ライ@Mallow - 初コメ失礼します！いつも更新の度に読んでいて、物語が凄く好きです！というかたるるさんの作品は全部好きです！！毎度のように言葉選びがお上手・・！！いつも心にどーんと刺さります(誉め言葉ですよ！)これからも応援します！続き楽しみに待ってます！ (2021年9月7日 15時) (レス) id: 74ae029d2d (このIDを非表示/違反報告)
たるる(プロフ) - のんたんさん» コメントありがとうございます！！！温かい応援の言葉に心が温かくなりました！疲れが一気に吹き飛びました笑楽しんでいただいて嬉しいです(*^^*)続きもお楽しんでくれたら嬉しいです！ (2021年9月3日 18時) (レス) id: 6b45a8b4d9 (このIDを非表示/違反報告)
のんたん(プロフ) - コメント失礼します、時間を忘れて読み込んでしまうぐらいとてもいいお話だと感じました。お話に出てくる名言に心を打たれたり、感動して涙が滝のように出てしまったりと色々と驚かせられて読んでて飽きませんでした^^*図々しいですがお話の続き楽しみにしてます!! (2021年8月29日 4時) (レス) id: 8085edeba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たるる | 作成日時：2021年8月25日 14時
