錬金術師と修行完了 ページ10
修行開始から一ヶ月。
2人はボロボロになりながらも、以前とは比べ物にならないくらい強くなった。
「！」
「少しはマシになったようだな」
そうオーターが声をかけると、ドットが立ち上がった。
「(気に食わねぇが………修行の効果は認めるしかねぇ……)意外と悪い奴じゃねーじゃん」
ぽん、とドットがオーターの肩に手を置いた瞬間、オーターは魔法でドットを殴り飛ばした。
「ぎゃあ」
「ド、ドットー！！」
「Aちゃん！！」
あまりに可哀想だったので手を差し伸べると、抱きつく勢いでドットが起き上がった。
「わ」
「ふぎゃ！？」
私に触れる直前で、またドットがオーターの魔法で吹っ飛ばされていた。
「これが終わればお前たちは私が殺す。なれなれしくするな。あとAに近づくな」
「クゥ〜〜ン」
ドットは子犬のようにランスにしがみついていた。
なんというか、憐れだ…。
そんなことを思っていたら、オーターは2人の前に水とパンを出した。
「！」
「最後の仕上げだ。メシを食って体力を回復させろ」
その言葉にドットは勢いよくご飯を食べ始めた。
「………何故そこまで魔法が使えない者を目の敵にする……」
「……それが決まりだからだ。私はそれを遂行するだけ………」
「社会を作る上での合理性の中に感情は持ち込まないという訳か…」
「何か根は悪い奴じゃなさそーだし、メシ一緒に食べれば分かりあえそーだけどな。てか一緒に食いましょーよ、今まさにここで。Aちゃんも」
「私たちはもう食べた」
「そっすか、まあメシとか色々ありがとうございます！！」
「礼は言う。思想は違えど世話になったのは事実だしな」
「………好きにしろ」
そう言ってオーターはこの場を後にした。…私を引きずりながら。
ちょいちょい私の扱い雑だよね！？
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作者名：雹 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Haku_SHS/
作成日時：2023年7月9日 0時
