【MASHLE】奇跡の術師様Ⅲ【鋼の錬金術師】 (ページ8)

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「そう、大気の中で生じる現象の研究をしているの。雷や氷もその一つ。空気中の水分を凍らせれば物を凍らせることもできるし氷の粒子をぶつかり合わせて摩擦で静電気を起こすこともできる」

ここまで聞けば、錬金術師はなんでもできるように聞こえるが、全然違う。

「錬金術の基本は【理解】【分解】【再構築】。つまり錬成する分野において、ある程度の理解がないと錬成は不可能なんだよ」

「…一つ気になったんだが」

「なに？」

「Aは理解すれば錬成できる、て言っていたよな」

「そうだね」

「つまり人体を理解すれば人間自体を作ることもできるのか？」

「！」

「なっ！」

さすがはランスと言うべきか、目の付け所が非常に良い。
この話はあまりするつもりはなかったんだけどな…。

「標準的な大人一人分として計算した場合、水35L、炭素20kg、アンモニア4L、石灰1.5kg、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素、及びその個人の遺伝子の情報によってヒトは構成されていると考えられている」

「！」

「『錬金術師に禁忌あり。其(そ)は“人体錬成”なり。これ、何人も犯すことなかれ』人体錬成は危険な上に倫理にも反する行為の為、絶対に犯してはならない最大の禁忌(タブー)とされている」

「でも、こっそり人体錬成しちまうヤツもいるんじゃねぇのか？」

「いや、それは不可能だ」

「え？」

「錬金術は等価交換で成り立っている。神の領域に近づこうとした人間はその代償を持っていかれる」

「代償？」

「己の身体」

「え！？」

「また、運よく生き残れても実際に錬成されたものは、とてもじゃないがヒトとは呼べない代物だった」

「…Aの話を聞く限り、体験したことがあるような口ぶりだが」

オーターも痛いところを突くなぁ。