錬金術師と結末 ページ43
マッシュによって無邪気な淵源は倒された、が。
「姉さん、あれ！！」
「！？無邪気な淵源は倒したのに…なぜ！？」
無邪気な淵源が放った魔法は消えていなかった。
つまり未だあの世界を消さんとする魔力の塊は、こちらへ向かって降りかかっているのである。
「いっそ真理を引き摺り出して飲み込ませるか…？？」
「あの大きさは不可能に近いだろ」
「だよね…」
そんな話をエドとしていると、マッシュが突然海へ飛び込んだ。
「！？」
「地震！？」
「いや、マッシュだ！」
「え？」
マッシュは陸を掴んでバタ足をしていた。
いや、バタ足で広大な陸を動かすってどゆこと！？
「まさか陸ごと動かして魔法を避けるつもりか！？」
「んな無茶な…」
マッシュの人間離れした筋力によって、魔法は海へ落ちた。
「ダメだ！！魔法は回避できても津波が！！」
魔法が海に落ちた衝撃で巨大な津波が発生する。
しかしマッシュは怯むことなく、無邪気な淵源から杖を
「フン」
杖を振り翳した時の風で、津波を煽り返した。
「「…」」
「あ…虹だ…。キレイだね」
「うん」
マッシュのあり得ない力技に、現実逃避するかのように虹を眺めた。
「や…やった…！！」
「一件落着ですな…」
「勝ったぞ！！」
世界中から歓声が上がる。
マッシュの説得もあり、無邪気な淵源は戦いにより破壊されたものを魔法によって修復した。
その対象は生物も含まれるようで、マッシュの取られた心臓も元に戻ったようだ。
「よし、じゃあとは罪を償ってください。
僕は使えないけど、魔法が使えるってのも悪くないね」
そう言ったマッシュの背中を無邪気な淵源はただ見つめていた。
「次はいいことに使ってくださいよ」
「…終わったな」
「うん。エド、ありがとう」
「なんだよ急に」
この戦いに巻き込んでしまったのに、一緒に戦ってくれたエドにお礼を言うと嫌そうな顔をされた。
「…姉さんが戦ってるのに黙って見てるわけないだろ」
「…エド……」
素直じゃないな！！と頭を撫でると、嫌がりながらも照れくさそうにしている。
「マッシュくーん！！」
「勝利の舞」
「勝利の舞」
「さすがです！！」
「さすがオレの見込んだ漢だ！！ナイスガッツ！！」
マッシュはレモンたちと喜びを分かち合っていた。
「みんなのおかげです」
「と9割近く主にオレのおかげでもあるな」
マッシュの言葉に茶化すようにドットは言う。
マッシュはそっと背を向けみんなの輪に戻った。
「平和ならよし」
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作者名：雹 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Haku_SHS/
作成日時：2023年7月9日 0時
