▽ ページ38
「あげます、僕の一番大切なもの」
「！」
そう言ってマッシュはシュークリームをそっと置いた。
知ってたー！！
でもそういう事じゃないんだよ、マッシュ！！
やはりというべきか、マッシュは扉から出てきた黒い触手に飲み込まれて…飲みこ…のみ…
「ふぉおおおおおおおお」
頑張って抗っている。
いや、そういうモノじゃないからね！？
マッシュの抵抗も虚しく、扉の中へと飲み込まれていった。
「…」
ガッ
え？
なんか扉から手が出てきたんだけど！？
どんどん扉がこじ開けられていく。
「フン」
ブチィッ
「え」
「ええ！？」
マッシュが黒い触手を引きちぎって戻ってきた。
嘘だろ！！？
「大切なものはあげられないけど、生き返るチャンスはください」
「話聞いてたのかこいつ……」
「取引とか対価とかムズかしい話しはNGで、すみません」
マッシュは謝るも、黒い触手に巻かれまたも扉に飲み込まれ始めた。
「ふおおおおおおおお」
「だろうな」
「やっぱダメかぁ」
さっきよりも触手の質量が多い。しかしマッシュはまたも抵抗する。
「え」
ギチギチ
「また？うそ扉ごと？えっあっちょ、えっ」
今度は扉ごと動かし始めた。なんか扉倒れそうなんだけど！？
ギチギチギチ
「うそでしょ！？ちょっと、えっ」
慌てて扉から離れると、ビッターンと扉が倒れた。
「えええ！！？」
「何千年と続く対価の扉が…」
「なんとかみんなと平和に暮らしたいんです。そのためだったら諦めません、ボク。お願いします」
そう言ってマッシュは頭を下げる。力技で対価を無にした…。
「いいだろう」
「「え？」」
「何千年も生きていてこんな奴は初めてだ、逆に面白い。アチラの世界に戻してやろう」
「マジすか」
コレがおもしれー男ってヤツか…。
条件が世界を救う事に変わった。
こんなのアリなん！？？
「あ、僕からもう一つお願いが」
図々しいな！！
「筋トレしてから帰ってもいいですか？今のままだと勝てる気しなくて」
「「ここで？」」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雹 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Haku_SHS/
作成日時：2023年7月9日 0時
