【MASHLE】奇跡の術師様Ⅲ【鋼の錬金術師】 (ページ29)

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マッシュは本気モードに入ったのか、リストバンドを外す。
外されたリストバンドは信じられないほどの重量を持っていたらしく、床に落ちた瞬間に轟音が鳴る。

…え？

更にクレアチンを摂取する事により、瞬発的に大きな筋力を発揮する際に必要なエネルギー源を得ていた。

一進一退のような戦いを見ながら思う。

ホムンクルスはあくまで何百何千人分もの生命を取り込んだ人造生体であり、その分何度死んでも蘇る。
ただ、肉体はあくまで人間と同じで多少の個体差はあれど圧倒的な筋力の差は無かった。

それに比べ、マッシュと互角に戦っている長男。
彼もまた最初に説明を聞いた時はホムンクルス(同類)かと思ったが違うようで、不死なわけではないと思うが魔法含めた戦闘面で秀でており、今まで私が対峙したことのある相手の中でも最強と呼べるだろう。

「にしても…研究して(調べて)みたいな、あの肉体」

「本当にホムンクルスじゃないのだとしたら、医療の進歩に一繋がるな」

さすが姉弟と言うべきか、エドも同じことを考えていたらしい。
そんなことをしていたら、戦いは最終局面に突入した。

長男が最終形態になり遺憾なく力を発揮する。想像通り鏡系の固有魔法を使うようで、自身を鏡に映し分身を作り出した。虚像のクセに力は本体と変わらないらしい。

それを見てた准将が、物理法則はどうなっているんだ…！？と驚いていた。

…コレが魔法なんだよ。

虚像を地面に埋め下に落とす事により攻略したマッシュは、最後にブルーディスティニー(プロレス技)を決めて相手を倒した。

「…少佐が気に入りそうだな」

ホントそれな。

「……一つだけ聞かせてくれ、その強さをもって貴様は何を目指すのだ」

「……パティシエ」

「パ……パティシエ…」

マッシュらしい回答に笑いが溢れる。
緊迫した戦いの最後で緊張感のない予想外の回答に、敵も驚いていた。

「人を傷つけても誰も幸せになんないけど、甘いもの食べたらみんな幸せになるし」

「……私も…作るかパンケーキでも」

「好きにしたらいんじゃないですか」

冷た！！？

「完敗だ…」

かくして、マッシュvs長男の戦いはマッシュの勝利に終わった。