× ページ20
.
『明日13時六本木』
あれから数日後の夜、お風呂から上がって携帯のメールを確認すると蘭さんから明日の集合場所が送られてきており顔が熱くなり一気に鼓動が高鳴る。
勉強をしても雑誌を見つめても頭にチラついてくるのは彼の優しい笑顔で、心做しか寝付けない訳は明日の事が楽しみだというのも分かっているのに彼の事を受け入れられないのは自分が過去の出来事を引き摺っているからということだ。
「蘭さんは違ったりするのかな」
自分の曖昧な気持ちに嫌気が差して無理矢理彼の事を忘れようと寝返りを打つ。明日はただ男友達と遊ぶだけであってデートではない。そう自分に言い聞かせて溜息をつき夜が更けていく。
.
次の日の朝、いつもより少し濃いメイクをしてお気に入りの靴を履き六本木へと向かう。10分前程度に待ち合わせ場所へ着くとそこには壁に寄りかかって長い脚を組んでいる彼が居てその姿に胸が高鳴った私は恐る恐る彼の元に足を運ぶ。
「あ、の…蘭さん」
私が彼にそう声をかけると開いていた携帯を閉じて私の方を向く。そして私の服をじっと見つめると少し目を開き口角を上げるといつものように優しい笑顔を見せる。
「うん、可愛い」
突然の発言に顔が熱くなりその場に固まる私を他所に手を引き私を連れていく彼の耳は少しだけ赤く見えて思わず視線を逸らしてしまった。
しばらく歩いた後に着いたのは映画館で事前に予約してきたのかチケットを2枚チラつかせながら手を引く彼にされるがまま着いていく。彼が予約したのは今話題の恋愛映画であり丁度見てみたいと思ってたので私は嬉しくて思わず彼の手をぎゅっと握り席へと向かって行った。
「Aは恋愛映画が好きなの?」
「この映画に出てる俳優さんが大好きなんです!」
「かっこいいですよね…!」そう言って彼に笑いかけるが少し不機嫌そうな顔で「ふーん」とそっぽを向いてしまう彼に機嫌を損ねてしまったのではないかと焦った私はどうすればいいのかも分からずあたふたと彼の目を見つめる。
「…見すぎ、」
そう言って自分の顔を片手で覆い隠してしまう彼の表情が見えなかった私は時期に天井が暗くなり映画が始まる合図に咳払いをして背筋を伸ばす。
.
2187人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イオ(プロフ) - 続き楽しみです!更新頑張って下さい!! (2021年9月5日 19時) (レス) id: 750e30c04d (このIDを非表示/違反報告)
シーチキン(プロフ) - キュンッキュンッします!!更新楽しみに待っています! (2021年8月6日 7時) (レス) id: 05900c9320 (このIDを非表示/違反報告)
アオ - 灰谷兄弟好きなので嬉しかったです。続き楽しみにしてます。12年後の竜胆を作ってくれませんか? (2021年8月3日 4時) (レス) id: 87777bf704 (このIDを非表示/違反報告)
からあげ - 最近軽く蘭に沼ったと思ったらまんまと足元すくわれましたね笑 これからも楽しみに応援してます!! (2021年7月24日 0時) (レス) id: 6987777c86 (このIDを非表示/違反報告)
からあげ - 最近軽く蘭に沼ったと思ったらこの作品でどハマり…笑 これからも楽しみに応援してます!! (2021年7月24日 0時) (レス) id: 6987777c86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:レモン | 作成日時:2021年7月19日 0時