【ONEPIECE】無口な彼の遺した言葉 (ページ6)

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どうやら俺の喉は壊れてしまったらしい。

というのも、拭き終わった少年が持ってきてくれた水を飲んでも、喉はジリジリと痛むわ、スープを飲めばゲホゲホと咳き込むわ、パンを食べようにも口はまともに開けられない。

腕すら動かせない俺のために食べさせてくれていた少年も、流石にまともに食べない俺を嫌になったのか顔を歪め、スープを床の上に置いた。

「…ちょっと待ってなよぃ」

そう言った少年は俺の頭をひとなでした後、部屋を出ていった。

風の音のみが聞こえる部屋の中を、目だけでくるりと見渡す。俺が使っている、床に敷かれた布団と、ちょっとした机と数冊の本、あとは…ガラクタのようなものや紙の束。扉の先には調理台などもあるのだろうか。動けないので見に行くことはできないけど。あとは唯一の丸い窓

一人で生活していても狭いだろうと感じるこの部屋が、彼の家なのか。

俺は…いったい誰なのだろう。

俺の家はどこなのか。

家族はいるのか。

俺の帰りを待つ人はいるのか。

彼は誰なのか。

…何故か、なにも覚えていない。

その事に気付いた瞬間押し寄せる不安。けどそれはどうやったって拭えないものだろう。だって、何を忘れてしまったのかすら分からないのだから

「…ゲホ」

まぁいっか

とりあえず俺は、少年が戻ってくるまで寝ることにした。