ずっと想ってる。 (ページ36)

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勝負。ページ36

「じゃ、教室に戻るね・・・響。」
「あぁ。ありがとな・・・。」

パタン。

扉のしまる音。
屋上に残るのは僕ら2人と響だけ。
その僕らも今は無言だ。

「ちょっと、響んとこ行ってくる。」

立ち上がり、響の方へ歩き出す。

「・・・響。」

はっとしてこちらを振り向く響の頬には
涙が伝っていた。

「何だよ、聞いてたなら言えよ。」

そう言って苦笑する顔にも元気がなかった。

「ごめん。・・・頑張ったと思うよ、響。」

慰めのつもりじゃない。
僕が思っていたこと、本心だ。

僕だったら絶対にできないから。
結果が分かってるのに告白するなんて。
意気地無しの僕じゃ、できないから。

「本当にすごいよ・・・。」
「ありがとな。にしても・・・結果は分かってたはずなのになぁ。」

「みっともない。」そう言って響は制服の
Yシャツの袖で涙をぬぐう。
その姿に僕は何て声をかけたら良いのか
分からずにただただ見つめていた。

少したってから顔を上げた響は驚くことに、
何か吹っ切れたような表情をしていた。

「でも、すっきりしたよ。この恋は終わりにする。」

ーだから

「お前も頑張れよ！告白すんの。」

僕の顔を見ながら意地悪くニヤリと笑う響。
その余計な1言に僕の頬は赤く染まる。

「余計なお世話っ！！」
「ははっ、ごめんって。・・・じゃ俺、教室戻るから。」
「うん。またあとで。」

ぱたん。

無機質な扉の閉まる音。響も行っちゃった。

・・・僕にはここからが勝負だ。