ずっと想ってる。 (ページ21)

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視線。ページ21

「パス！パス！」
「オッケ！」
「木戸さん、ラスト！」
「んっ！」

シュッ。

ネットの布をこすらせながらボールは
綺麗にゴールに吸い込まれる。

「よっしゃぁ！」
「さっすが木戸さん！」
「ナイス！」

チームメイト達は嬉しそうに
キドに近寄っていく。

「鹿野。お前さ・・・さっきから木戸さんばっか見てんね。」
「・・・しょうがないじゃん。好きなんだもん・・・。」

響からそう指摘を受けるも、僕の視線は
まだキドを追いかける。

「まぁ、その気持ち。分からなくはないけどさ・・・。」

あ。そういえば。

「響の好きな人って誰なの。」

「・・・え。」

そういうと、響は豆鉄砲をくらった
鳩のように目を丸くする。

「俺、いるって言ったっけ。」
「言った。さっき、自分で。」

「そうだっけ・・・？」と言いながら、
響は記憶を遡っているようだ。

少しすると「あ！」と声をあげる。
つい数十分前のことなのに、こいつの
脳は大丈夫なんだろうか。

そんなことを頭の中で考えていると、
響は「俺にも幼なじみがいるんだ。」と
意外にも恥ずかしがらずに話始める。

「へぇ。いたの？」
「うん。お前の知ってるヤツだよ。ほら、木戸さんとよくしゃべってるだろ？」

キドとよくしゃべる人？
・・・って言ったら1番は

「桜花ちゃん・・・とか？」

そう物は試しで言ってみる。

「ん。正解。」

あっさり正解を認められて
拍子抜けしていると、響は笑い出した。

「今のお前の顔、すっごいマヌケ！」

そういって響は今もなお、笑い続けている。

「だって、響が思ってたよりすごいあっさり認めたから・・・。」

そう言って僕が少しむくれると、響は
少し笑いながらも笑顔をひっこめた。

「ごめんごめん。・・・でも、あっさりしてる・・・かぁ。」
「だって好きな人だよ？よく響は照れないで言えるよね。」
「そいや、お前は顔真っ赤だったもんな。」
「う、うるさいな・・・。」
「まぁ、あっさりしてる理由は自分自身で分かるよ。」
「ふ～ん。なんで？」
「あいつも・・・」

「好きな人がいるから。」