ずっと想ってる。 (ページ31)

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乱れる心。ページ31

「え。僕の？」
「お前も相談するって、言ってただろう。」

なんだよ、忘れてたのか。
俺が心の中で悪態をついていると、
カノは思い出したのか「あぁ！」と
声をあげる。

「相談・・・っていうか、誰かに聞いてほしいなって。」

そう言ってカノは小さく、決意するかのように息を吸う。

その少しあとで紡がれた、衝撃的な言葉。

「僕さ・・・告白すると思う。」

「は・・・？」

少しの静寂。

やっとのことで出てきた声と言葉は
いつもとは比べ物にならないくらい
掠れていて、小さかった。

「な、んで・・・急に・・・。」

「約束したんだ。響と。」

星空を見上げる、綺麗な琥珀色の瞳。
その目には意志があった。

「響が告白したら、僕も告白する。」

まぁ、多分振られちゃうけどね。

そう言って苦笑するカノ。

嘘だろ・・・？
表面上は何もないように振る舞い続けるが、
その言葉を発する口とは裏腹に心は
乱れまくっている。

告白する？カノが？
この淡い恋心は知られることも、
告げられることもなく散ってしまう？

・・・ヤダ。

カノの笑顔を隣で見るのは
他の誰かじゃ、嫌だ。
その手も声も笑顔も優しさも、
他の誰かのものになるのは嫌だ。

だったら今、告白すればいいじゃないか。

心の中の自分の声が聞こえてくる。
無理だ。そんなの。

この関係を壊したくない。
普通に笑いあっている仲でありたい。
・・・ふられて、気まずくなりたくない。

そうなら、伝えないままがいい？
他の誰かにとられる方が良いの？

それも嫌だ。

そんな声が俺の頭を行き来する。

「あ、母さんが呼んでる。」

そう言うとカノは俺の気持ちなどを
知るはずもなく、のんきに
「また明日！バイバイ、キド。」
そう言って立ち去ってしまった。

「カノのばか。」

すれちがう恋心を2人はまだ知らない。