＊ ページ35
朝。いつも通り手探りでアラームを止め、瞼を起こせば思わず呻き声が漏れる。
夜の湿気をふんだんに含んだ空気に加え、私を腕の中に閉じ込めた勝利くんの密着度の相乗効果で寝室がめちゃくちゃに暑い。
これならもう寝る時冷房入れてもいいな…と思いながらベタベタする肌をどうにかしようとベッドから抜け出し浴室へと向かう。
シャワー浴びる位の時間はありそうだ、と時間を確認して洗面台の鏡に視線を移し、
『……っうえ！？！？？』
写し出された光景に朝特有の間抜けな声で叫んでしまった。だって、二の腕から手首、太ももの付け根から足首まで赤い華を咲かせた自分がそこにいたのだから。
こんなに付けられてたらノースリーブやミニスカートはおろか、半袖や普通のスカート見える危険性がある、待ってこれはあまりにも芸術点が高い。
「ふふ。おはよ」
唖然としている私に微笑みと共に余裕そうな朝の挨拶が降ってくる。視線をやれば犯人が想像通りの笑みを浮かべて佇んでいた。
朝が弱い彼の目が覚醒している。きっと私が起きる前には既に起きていてずっと寝たふりをしていたのだろう。
鋭く睨むも彼の前では役立たず。せめてこの付けた理由を知りたくて詰め寄る。
『勝利くん、これは一体どういうことでしょうか』
「A昨日言ってたじゃん。肌隠す理由もないのに長袖着てるのはどうかって。だったら隠す理由を作ればいいんだって俺思ったんだよね」
『……だから、これ？』
「やっぱり肌白いから綺麗についたね。これならA、長袖着る理由が出来たでしょ？」
溢れんばかりの嬉しさを声と笑みに含ませる彼は全く悪びれる様子はない。怒りたい、怒りたいのだけどその表情を見てしまい何も言えなくなってしまう。
一つ一つの痕を愛おしげに撫で可愛らしく瞳を揺らす恋人を怒れる人がいるか。
「今度の休みに夏場でも着れる長袖の服探しにちょっと遠出しようよ。ついでに美味しいものも食べたいな俺」
『……全部勝利くん持ちなら』
「勿論そのつもり。それでAの露出が減るなら喜んで出すよ」
半分冗談で言ったのにすんなり受け入れた彼は私の頭を一撫ですると「朝ごはん作ってくる」と鼻歌をしながら機嫌良く去っていく。
再度鏡と向き合った私は『腕捲りした時に見える所だけでもどうにかしたい…』と呟いて、無駄な抵抗だなと感じ深く息を吐いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 264人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カノープス - もものすけさん» もものすけさんコメントありがとうございます！うわぁ〜そんな嬉しいことを言って頂けて感無量です…色々手探りで書いているので共感して頂けてるなら本当に良かったです！不定期ですがこれからも楽しみにして頂けると幸いです！ (2021年9月25日 8時) (
レス) @page16 id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
もものすけ(プロフ) - 更新してくださってありがとうございます！勝手にまろ恋と自分の中で呼ばさせて頂いていますが、本当にに入りから共感できることばかりで読んでいてによによが止まりません…。更新気まぐれだとしても本当に嬉しいです。無理なさらず、ご自愛ください。 (2021年9月20日 7時) (レス) id: 4f02f6a80b (このIDを非表示/違反報告)
カノープス - ハッピースクールさん» ハッピースクールさんありがとうございます！こちらは本当に不定期ですが楽しんで頂けたら幸いです (2021年5月30日 22時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
ハッピースクール(プロフ) - 新作楽しみにしてました！！ (2021年5月29日 2時) (レス) id: ce9527749f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カノープス | 作成日時：2021年5月27日 21時
