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会社であったことはその日の内に共有しておく、というのが私達のルール。
という訳で、勝利くんが淹れてくれたお茶をお供にお兄ちゃんのことと松島くんマリウスくんとのことを話した。
「相変わらず健人くん冷房の設定温度低いんだね」
『勝利くんの時もそうだったんだ?』
「一回健人くんと二人で残業した時に冷房の温度下げて良い?って聞かれたことがあって。頷いた途端すごい勢いでボタン叩いてたあの指の早さと寒さ、今でも思い出せる」
身震いするように二の腕を擦った彼に思わず笑ってしまう。私と彼はその辺も気が合うので当時の彼は本当に寒かったんだろうしそれを言えなかったのだろうと想像できた。
『とりあえず明日一度上げてみて、気が付かれないようだったら少しずつ上げてくつもり。目指せ適温』
「上手くいくといいけど、本音を言えば俺としてはこのまま着てて欲しいんだよね」
軽々私を自分の膝の上に乗せ、後ろからハグしてきた勝利くんに目を丸くした。心配性の彼のことだから着込むことによって熱中症になられたら困る、とか言い出しそうだったから。
夏仕様の薄手のパジャマの上を細長い指が這う。半袖と短パンだから指先が素肌を掠め、くすぐったくて離れようとしても許してくれない。
「恋人としてはAの肌を他の男の目に晒したくないからね」
耳元で吐息混じりに囁かれ背中に密着してきた勝利くんは心配と嫉妬を滲ませていた。
「Aの肌、色白だし触ってて気持ちいいし綺麗だからあまり見せたくない。そもそも俺が見てない所で露出なんかして欲しくないし」
『露出って…ノースリーブとかミニスカート履いてる訳じゃないんだから…』
私が反論すれば異議を唱えるように肩口に頭を押し付けてくる。子犬みたいで可愛いけどさっきから手付きが際どすぎてぺし、と軽く叩けば大人しくなる。
「彼女の肌なんか俺だけが知ってればいいし見れればいいの。だから適温になっても長袖着てて?ね?」
見上げてきた瞳はうるうると潤んでいて、勝利くんがお願いする時のこの顔に私は弱い。善処します、と呟けば不服そうにしながらも一応は納得した。
『でもずっと隠してたら肌見せたくない理由があるって誤解されちゃうからなぁ…ただ寒さ対策してるだけなのに』
刹那、勝利くんが何か閃いたのか目の奥を輝かせたけれど嘆いていた私はそれに気付くよしもなかった。
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カノープス - もものすけさん» もものすけさんコメントありがとうございます!うわぁ〜そんな嬉しいことを言って頂けて感無量です…色々手探りで書いているので共感して頂けてるなら本当に良かったです!不定期ですがこれからも楽しみにして頂けると幸いです! (2021年9月25日 8時) (レス) @page16 id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
もものすけ(プロフ) - 更新してくださってありがとうございます!勝手にまろ恋と自分の中で呼ばさせて頂いていますが、本当にに入りから共感できることばかりで読んでいてによによが止まりません…。更新気まぐれだとしても本当に嬉しいです。無理なさらず、ご自愛ください。 (2021年9月20日 7時) (レス) id: 4f02f6a80b (このIDを非表示/違反報告)
カノープス - ハッピースクールさん» ハッピースクールさんありがとうございます!こちらは本当に不定期ですが楽しんで頂けたら幸いです (2021年5月30日 22時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
ハッピースクール(プロフ) - 新作楽しみにしてました!! (2021年5月29日 2時) (レス) id: ce9527749f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カノープス | 作成日時:2021年5月27日 21時