とあるいつもの日常 ページ12
私の朝は早い。
ピピピ、と電子音が響く寝室。閉じられた瞼のまま手探りでアラームを止めて時刻を確認する。うん、寝過ごしてない。
横から乱れることない寝息が聞こえてきて起き上がって見てみればあどけない顔をしてまだ夢の中の勝利くん。
春とはいえまだ肌寒い。寒がりな彼は朝起きるといつも毛布を体に巻き込んで丸まって寝ていることが多くて、その姿はまるで猫みたいで可愛いなんて本人に言ったら怒るだろうなぁ。
彼を起こさないように静かに寝床から出て、台所に向かう。
『さて、作りますか』
料理担当は彼だと前に話したが、お弁当だけは私が毎朝作っている。
弊社は食堂もあるし会社の回りにはコンビニも飲食店もある。総務部は全体的に持参が多いが営業部なんて外回りがあるから外で食べる人が大半。けれど、勝利くんは、
「Aのお弁当食べたい。そしたら午後からも仕事頑張れる」
なんて子犬が甘える時みたいにこてんと首を傾げながら言われてしまえば私は頷くしか選択肢がない。
と言っても彼の飛び抜けた料理スペックに比べたら平凡な私。卵焼きと茹でたブロッコリーとウインナー…みたいなありきたりなものしか作れない。
それでも彼は毎朝見つけると嬉しそうに笑うからもっと頑張ろうと思える。
『あ、勝利くんおはよう』
「……ぅん」
私が二人分作り終わる頃、彼は起き出す。朝が苦手な彼は起き抜けはまだ頭が覚醒してなくて、ほぼ閉じられた瞼を擦りながら洗面台へ向かう。
その間コーヒーを二人分淹れる。私はミルクと砂糖を淹れてカフェオレ、彼はなにも入れないブラック。
ソファーに座り飲みながらテレビをぼんやり見ていれば肩に何かが乗る感覚。
『勝利くんコーヒー前にあるからね』
「……ん」
『まだ熱いから気を付けてね』
まだおねむな彼がマグカップを取る音がした。お天気コーナーを見ながら今日の服装を考えていると名前を呼ばれた。
顔だけそちらに向ければ一瞬だけ掠めた唇。ほんのり私より苦いコーヒーの味がして、
「目、覚めた。おはよA」
爽やかな笑みを浮かべた彼はもう一回軽く合わせると朝御飯作るかー！と立ち上がった。
毎朝毎朝彼の覚醒スイッチのタイミングが分からずいつまでもドキドキしてしまうのなんとかしたいな。
なんて台所に置かれたお弁当を見つけて嬉しそうに笑う彼を横目に私も自分の仕度をし出すのだった。
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カノープス - もものすけさん» もものすけさんコメントありがとうございます！うわぁ〜そんな嬉しいことを言って頂けて感無量です…色々手探りで書いているので共感して頂けてるなら本当に良かったです！不定期ですがこれからも楽しみにして頂けると幸いです！ (2021年9月25日 8時) (
レス) @page16 id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
もものすけ(プロフ) - 更新してくださってありがとうございます！勝手にまろ恋と自分の中で呼ばさせて頂いていますが、本当にに入りから共感できることばかりで読んでいてによによが止まりません…。更新気まぐれだとしても本当に嬉しいです。無理なさらず、ご自愛ください。 (2021年9月20日 7時) (レス) id: 4f02f6a80b (このIDを非表示/違反報告)
カノープス - ハッピースクールさん» ハッピースクールさんありがとうございます！こちらは本当に不定期ですが楽しんで頂けたら幸いです (2021年5月30日 22時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
ハッピースクール(プロフ) - 新作楽しみにしてました！！ (2021年5月29日 2時) (レス) id: ce9527749f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カノープス | 作成日時：2021年5月27日 21時
