13 ページ13
あの時、私はまだ、学校にいた。
何が起きたか分からなくて、でも、必死に命にしがみついていて。
気づいた時には、何もかもを失っていた。
どれだけ探しても、家族も友達も、家も見つからない。
大好きな街は、見たこともない姿に変わっていた。
もちろんその後も、たくさん辛いことも悲しいこともあった。
でも、今はー
「両親、祖父母、友達、家…一気に失った時は、全然受け入れられなかったし、受け入れたくなかった。…でも、辛いことだけじゃなかった。たくさんの絆に触れて、思いやりを知って。毎日が当たり前じゃないこと、とても大切なことを学んで。そして、今、朗希と知り合って、こうやって話せてる。過去の私がどうであっても、今の私はとても幸せ者だって、胸を張って言えるんだ。だから…生きててくれて、ありがとう、朗希。」
佐々木「…！ こちらこそ、生きててくれて、俺と出会ってくれて、ありがとな、A。」
夜空のどこかの星に、こう伝えたい。
とても幸せだよ、て。
「…私も、朗希に話せて良かった。やっと、過去と向き合えた気がしたよ。」
佐々木「そっか…ありがとな、話してくれて。」
「ううん。…なんか、改めて、自分が今生きていることが奇跡なんだって、実感しちゃったw」
佐々木「確かに…、あー、あのさ。嫌だったらいいんだけど…手、貸してくれる？」
「ん？全然いいよ。」
右手を朗希に差し出すと、
佐々木「ん。」
「っ！」
そのまま自然と、手を繋がれた。
…え、普通に緊張するって！
「ろ、朗希？」
佐々木「俺の手も温かいし、Aの手も温かいでしょ。」
「う、うん。」
佐々木「つまり、俺はAの隣で生きてて、Aは俺の隣で生きてるってこと。」
「…！ うん、そうだね。なんか、すごい安心してきた。」
佐々木「それなら良かった。…大丈夫。俺はずっと一緒にいるよ。」
いつから見透かされてたんだろう。
不安も寂しさも、朗希のお陰でどこかへ飛んで行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 310人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あちゃごん - やばい...かっこかわいいとはこのことか...!最高な小説ありがとうございます！更新頑張ってください！ (2023年4月5日 13時) (
レス) id: 4dbfea730e (このIDを非表示/違反報告)
庄司靖(プロフ) - 最っっ高！ (2023年3月29日 12時) (レス) @page7 id: e958ad6f1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キース | 作成日時：2023年3月28日 23時
