Through the rain 5 (ページ36)

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黄side

移動時間に、テレビをつければ「SixTONES 田中樹さん」の文字。

あいつ、忙しすぎね!?

さっきも出てたし、昨日も見た。

グループで共有されていたスケジュールをぱっと開けば、樹の欄はびっちり埋まっていた。

あの時もさ...

北斗がドラマあったり。大我にも映像仕事が入って、慎太郎もドラマ。

俺とジェシーは、レギュラー番組が連なって。

グループとしての仕事が、全部樹に入って心配したんだ。

高「樹、こんなに入って大丈夫?減らすっていうか、なんていうか..」

樹「大丈夫だよ笑..そもそも減らせねえだろ?」

高「まぁな、」

なんてさ、あのちょっと掴み所のないヘラっとした笑顔で流されてしまったんだよね...

高「お前...酷い顔してるよ...」

テレビに映る樹の姿は、痛々しいほどに疲れきっているように見えた。

笑えてねぇよ、樹。

あいつとのトークルームを開けば、最後の履歴はもう2週間前。

あんなに意味の無い内容を送ってきたりしてたのに、なんにも連絡が入っていない。

高「こういう時こそ、頼ってこいよ。ばか樹..」

どれだけ連絡待ってると思ってんだ?

パッという音と共に、2週間ぶりの連絡を入れる。

どうにか話を聞いてあげないと、あいつ潰れちゃう。

俺らの航海士がいなくなってしまったら、大変なことになっちゃうよ..,

それだけは、救ってあげないと。

溺れかけている、この気が回りすぎる男を引き上げてやりたかった。

それなのに.....

この連絡に返信がないまま、1週間がすぎていって6人での仕事当日までやってきてしまった。

遅刻ギリギリに入ってきた樹は、顔色は茶色っぽいしフラフラ。

それなのに不自然に口角をあげて。

その後ろでは、助けてって泣いているみたいだった。