大人はいつも… (ページ2)

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　2 〜母〜ページ2

ーAsideー

母と、兄が亡くなったのは、2年前。

当時5年生だった私は、親戚や里親を転々としていた。

ついに、6年生では施設へと出された。

何気ない日常がつまらなく、もっと広い世界を見たくなった私は、今日こうして東京へと今行っている。

昔、母にお世話になったという人が、アパート代を少し出してくれるというのだ。

さすがに申し訳なくなった私は、大きくなったら少しずつ返していくことにした。

母は精神科医。

真っ白な白衣を着て、花が咲くような笑顔を浮かべて患者さんに話しかける、母はとても綺麗だった。

そんな人に私もなりたかった。

でも、そんな目標も、今は失われてしまった。

私は、見てしまったのだ。

医学の道へと進むには、相当な費用がかかることを。

もう、これ以上迷惑をかけることができない。

だから、しばらくは諦めることにする。

［次は〜〜〜〜新玉駅〜〜〜〜新玉駅です〜〜〜〜］

電車のアナウンスが流れ、私は、降りる準備をする。

駅の改札を抜け、空を見上げると、

『東京だ、』

キャリーケースを押し、アパートへと向かう。

ここで、私の新しい生活が始まる。