【忍忍】 雨開の空 其の三

忍びの9-5 魔法忍者 ページ8

「(え、それなら貴方はどちらさまですか！！？)」


ぐりんと文鳥の首が振り向く。

ジュッカラゲが急にイッタンモメンに襲いかかったかと思えば、くるりと翻して霞に変化した。終わりの手裏剣をあしらったドレスを着こなして。

振り向いた先のネズミ二匹。風花と霞だと思っていたが、風花と見知らぬ一般ネズミだったらしい。見たところで最早どっちがどっちか分からない。

向こうの話を聞くに、どうやら魔法がヒットする直前、霞は変わり身の術を使った、ということらしい。



　……すぐ後ろにいたのに気づかなかった私って一体。



あんな一瞬を見逃さないとは流石八雲である。


そんなこんなであっけにとられていたところ。ぐん、と身体に変化が訪れた。
またも真っ白に染まった視界が開けると、見慣れたいつもの視座だった。


「も、戻った……！」

「あーやっと戻った〜〜！！」

「ありがとやっくん！」

「上手くいきそうな時ほど油断禁物。侮るべからずだ」


普通に腕も足も動く。なんとありがたいことか。
機転を回し、見事に全て解決した八雲。
魔法を学ぶ者として、忍者を継承する者として、欲張りにも全てを取る。

まだまだ青い理想を携え、彼は啖呵を切った。



「俺は魔法使いでも忍者でもない。

ーー魔法忍者だ！！」



【アオニンジャーシュリケン！】


「「「手裏剣変化！！！」」」



さあ、反撃開始だ。



〜〜〜



意外と早く片付いた。
それがAの感想だった。

イッタンモメンの魔法を八雲が即座に跳ね返し、狼狽した隙。
霞と凪がカラクリヘンゲン・刀で斬りかかり、風花とAがガマガマ銃で撃ち抜いた。

続けざまに、八雲と天晴の合わせ技ーー魔法と忍術を組み合わせた、マジカル忍烈斬が決まったのである。


「おっしゃーー！！」


そんな雄叫びを上げた天晴が、何かに気づいたように自身の腰元に手をやった。
いつものように手裏剣が変化したのかとAが思った矢先、天晴の腕がぐいと引っ張られる。
腕を取られたのではなく、見えない何かに引き寄せられているのだ。


その手には、終わりの手裏剣。

引き寄せられているその先には、十六夜九衛門。



「やあ、ラストニンジャの孫達。それは貰っていくよ」

「ッ、渡すかよッ！！」


慌てて皆で駆け寄り、天晴にしがみついた。
必死にふんばるも、そのまま引かれ引き寄せの綱引き状態になってしまった。

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