【忍忍】 雨開の空 其の三

忍びの9-1 忍術vs魔法、大バトル！ ページ4

先日の帰ってきたネコマタ騒動から数日が過ぎ。少し久しぶりの妖怪の出現に勇んで出撃したのだが、妖怪など影も形もなく、封印の手裏剣が一つ、落ちていただけだった。

謎の現象にずっと難しい顔で考え込んでいる八雲を、斜め後ろから見つめつつ、Aもまたもやもやしたままだった。

そんな中。


「ね、ニュース見よっニュース！」


　……ニュース？


二人をすり抜け、風花と凪がテレビ前へ腰をおろす。
時事の課題でも出てたっけ、などと思いながらも二人の後ろにAが陣取った辺りでパッとテレビが映る。
そこであ、と声が漏れた。

写ったのは、一人の女性だ。


「姉さん！」

「ちょうどやるとこだったんだよ、やっくんのお母さんのこと！」


カメラの前で優雅にサングラスを外し、堂々たる立ち居振舞いを見せる。彼女こそ世界的ファッションデザイナーであり八雲の母・加藤春風その人だ。

どうやら新作発表のために来日したらしい。


「それより！誰がなぜ妖怪を倒したのか分析すべきだ。近頃は連中も妙な動きをしているしな」

「ああ、終わりの手裏剣を探していたんだったな…」


久しぶりに母に会いたいのでは、とからかってくる霞をスルーし、浮かれた空気を八雲が引っ張り戻す。

妖怪達が探す"終わりの手裏剣"。

旋風曰く、読んでそのままの如く、"世界を終わらせる程の力を持つ手裏剣"だと。
ラストニンジャのみが携えることができ、同時にそれを守り抜く役目も背負っているとのことだ。


「そうなると、じいさんが持っているのか」

「あー狐野郎に何か言われて…でもじいちゃん持ってなさそうだったぞ？」

「いやぁどうだろ…」


Aが苦笑いしながら溢す。
話の規模はともかく、食わせ者の祖父のこと。持っているのに"持っていない"と宣ったことも十分にあり得るはずだ。


「お父さんは見たことあるの？」

「ああ、昔の道場にあってね。宝石みたく輝いてたなぁ…」


どこか夢見心地のように旋風は語る。
そのままテレビで特集されていた春風の新作衣装へふいと目をやり、


「そうそう、まさに、こんな、感じ……！？」


うっとりと細められていた目が見開かれていく。
画面に写っていたのは、六又の切っ先と、中央にプリズムのような輝きの石が嵌め込まれた胸飾り。
その姿は正しく。


「ああああ！！これだよっ終わりの手裏剣ー！！」

「えええぇぇ！？！」

「はい！！！？？」


思わずAも大声を上げた。
まさかまさかの展開である。

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