おとぎ話で終わらせない (ページ16)

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昼休みの食堂。

グリム、エース、デュースは
毎月恒例の出張ベーカリーに並んでいるため、

ユウとAは先に席について昼食をとっていた。

そして、何気ない会話の中で
ユウがAにこんな質問をする。

「Aちゃんって、16歳にしては身体的にも大人だよね」

Aは昼食を食べながらそんな質問をされると思っていなかったのか、少し驚いたあと考え込んで答える。

「……そうね、時間停止の魔法をかけてもらう前に、

グレート・セブンの魔女様や女王様達に

見た目を少し変えてもらったからかしら」

『時間停止の魔法』『グレート・セブン』という言葉に、食堂が一瞬静まり返った。

すぐに生徒たちがざわざわと話し出す。

勿論ユウも仰天した。

Aの過去は聞いていたものの、

まさかグレート・セブンに時間停止以外にも魔法を
かけられていたとは思いもしなかったのだ。

「えっ、そうだったの?!」

「ええ、勿論海の魔女様には代償を払ったけどね」

Aは自身のことで周りがざわざわとするのは

慣れているのか、普段通りの様子でスープを飲む。

「ちなみに、どこをどういう風に変えてもらったの?」

ユウが恐る恐る尋ねる。

「えっと……まず髪は霧の影響でほとんど白かったから、ここの魔法でも変えられなかった部分以外は元の髪色にしてもらって……」

Aはスプーンを置いて、
左右の髪が白い部分をつまみながら答えた。

「それから、この先何千年も子供のままでいるのは嫌だったから、

胸を少し大きく、背も10cmくらい高く、

大人と子供の間って感じにしてもらったわね」

「へえ〜、す、凄いね……」

ユウはなんとも言えない表情で相槌を打った。

その後、Aは何十人もの生徒から

休み時間ギリギリまで質問攻めされたことは言うまでもない。

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