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何も見えない視界に、見覚えのある匂いを頼りに顔を上げようとするも後頭部に手を回され頭を胸板に強く押し付けられていた為、Aはしばらくの沈黙に息の根を止める。
「…邪魔すんじゃねえよ」
三途はそう舌打ちを零し竜胆の手によって頭を抜かれ倒れている男を蹴り飛ばすと、Aの身体を自分の方に寄せている彼の方に視線を向けてきつく睨みつける。
「コイツに銃持たせんなよ危ねぇな」
そう言ってAを守るように自分の胸に押し付けている竜胆を見て、三途は煽るような口調で彼を挑発した。
「お前、歳下の餓鬼に手出すなんて頭イってんじゃねえの?」
「テメェにだけは言われたくねえ」
「そいつは元々俺が殺す筈だった餓鬼なんだぜ?俺がどう躾ようが勝手だろ」
「…コイツは俺の言う事しか聞かねえよ」
「はっ、とんだ性癖野郎だな」
「使いもんになんねえ奴は要らねえんだよ」そう言って大きな舌打ちを零した三途は両手を上げながらその場から去っていった。その様子を見てため息をついた竜胆は自分の腕の中からAを離し血で染まった床を見ては顔を顰める。
「あ、あの…」
「あんま見んな俺がやる」
自分が殺したとはいえ、死体が転がっている惨い状況にAの目に手を置いて再び彼女の視界を遮った。「でも…、」と言って身を捩らせた彼女を他所に俺は耳元に顔を近づけ「命令だ」と言えば肩を揺らして身体が固まる彼女にどうしようもない感情が溢れ出す。
「返事は?」
「…はい」
俺の命令にはNoという選択肢が存在しない。確かに今のコイツは足りないものが多すぎて俺らが生きている世界とは程遠いと言っても過言ではなかった。殺しをやらせるか、死体処理をやらせるか、取引先の爺さんに媚びを売らせるか。
どれも今の彼女にはこなせそうにない仕事だが、選ぶとすれば殺しをやらせるのが一番妥当な道だと思った。銃を持って人差し指を曲げてしまえば簡単に人を殺す事が出来る上、彼女は死体に慣れているわけもない。だったら殺させるだけ殺させて後処理は下のやつに任せればいいじゃないか。
どっちにしろまずはコイツが稼げる程度に働いてもらわなくては首領にも三途にも話が通らない。俺はため息をつきAの手を引っ張ると「こっちに来い」と言って別室へと連れ込んでいく。手を引かれたまま俺の後を着いていく彼女の答えはもちろん
「はい、ご主人様」
▸▸▸master
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名無し97328号(プロフ) - 完結まで待ってます!無理せず頑張って下さい! (2022年1月13日 16時) (レス) @page25 id: 253b103d27 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!! (2021年12月23日 8時) (レス) id: 732dff87b6 (このIDを非表示/違反報告)
デルタ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!いつでも待ちます! (2021年11月4日 19時) (レス) @page23 id: e9d93af1ca (このIDを非表示/違反報告)
めんこい(プロフ) - 素敵な作品ですね(*^^*)楽しみに待ってます。 (2021年10月5日 2時) (レス) @page13 id: 43fbc056f5 (このIDを非表示/違反報告)
みりみりん - この後の展開が気になりすぎます!!更新楽しみにしてます!! (2021年9月11日 12時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レモン | 作成日時:2021年9月10日 19時