ご主人様に募われたい。【灰谷竜胆】 (ページ3)

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Aは三途の後をついて行き、とある部屋に連れてこられた途端に目を見開く。大きな広場らしきその場所の真ん中には手と足を縛られて、その場に座らされている男が一人居た。三途は時期にその男の目隠しを取るとAに銃を手渡す。

「銃の使い方くらい分かんだろ、アイツの頭狙って一発で殺せ。ビビんなよ？」

銃なんて使った事もないし何故こんな事をさせられているのかも分からない。Aは困惑した様子でその場に立ち尽くし、目の前の男を見つめることしか出来ない。その様子を見た三途は大きな舌打ちを零し銃を握っているAの手に自分の手を重ねた。

「テメェの親父が俺ら裏切ってんだよ、餓鬼だとは言え何考えてっか分かんねえからな。今ここでコイツ殺して俺らの仲間だって証明しろ。」

Aは目を見開き、時期に震えだす身体を他所に三途はその様子を見て機嫌が良さそうだった。ふと目隠しを外された男と目が合い、涙ながらに訴えかけるその姿に足が竦む。

「いいか、これは上からの命令だ。早くしろ」

「命令」そんな言葉に従わざるを得ないAは三途に重ねられた手を徐々に上げ、目の前の男に銃口を合わせる。震えが止まらない身体に強く目を瞑り銃を撃つ瞬間を見ないようにするも、後ろから顎を掴まれ「舐めた真似してんじゃねえよ。目瞑ったら殺す」と言われ冷や汗を零す。

闇社会に関わってこなかった人間にいきなり人を殺せるわけがない。身体の震えが止まらない様子のAを心底愉快そうな眼差しで見つめる三途を他所に重ねられた手でその引き金を引こうと息を飲む。

その瞬間、横から誰かに腕を引っ張られ胸板に押し付けられたかと思えば部屋中に銃声が響き渡る。服に顔を押し付けられていた為、その様子が見えなかったAは見覚えのある匂いに包まれ目を見開いた。

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