検索窓
今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:29,123 hit

第拾壱話「さよなら」 ページ11

「嫌です…嫌だ…」


また、涙か出た。

まだ私は生きていたいと思ってしまった。


「……A。そんな顔は綺麗じゃない。笑うのだ、ずっとずっと」

「太宰さん…」


私たちは友人だった。

否、それ以上の関係だった。


今こんなことになっているのは、全て彼の仕業なんだ。


裏切り者。

彼は私を裏切ったんだ。


それでもこういうときに頼れるのは……。


「助けてよ…ねぇ」


この人しか私にはいないのだ。


「……」


無言。


まぁ、当たり前だ。

助けられるわけない。

太宰さんにそんな権利は無い。


「ごめんね…Aのことは私が直々に殺させてもらうのだよ」


……っ!?


そっか…それならまだ許せるかな。

知らない人に殺されるよりまだ……。


ああ、でも少し悲しくもある。

好きだった人に殺されるなんて、残酷にも程がある。


「任務なんだ。分かってほしい」


そう伝える彼の目は悲しげだった。


「ん…んん」

「…っ…」


芥川さんにも会えなくなってしまう。


せめて、死ぬ前に別れの言葉を送りたい。

でも伝えるのは怖いな。


「太宰さん。キスツスと言う花を知っていますか?もし知っているなら…」

「……分かった。用意しよう」


芥川さんはきっと分からないだろうね。

だからこういう形にする。


私が死ぬって知ったときの貴方の顔が怖いから。

良くも悪くも恐いから。


「こんな私でごめんなさい…」


芥川さん、貴方とはもうさよならです。

第拾弍話「後悔」→←第拾話「嫌だ」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (71 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
61人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夢見る少女☆*:(プロフ) - ねこ娘さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。言葉の意味が分からないところがこの小説の醍醐味と言っても過言じゃありませんので (2017年4月7日 3時) (レス) id: cce1ac7323 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ娘(プロフ) - はじめまして!!めっさ感動しました!!キャラが掴みづらいやつがれくんの気持ち(?)の表現の仕方とかとてもお上手です。夏目漱石の言葉とかそういう直接は伝わらないような言葉わざわざ鈍感そうなは芥川くん使うところとか、なんかとても心がキュッてなりました… (2017年4月6日 22時) (レス) id: 913331cd44 (このIDを非表示/違反報告)
夢見る少女☆*:(プロフ) - 白崎 ツキトさん» 感動してくれて嬉しいです!貴方の心の中にいつまでも残っていれば幸いです (2017年3月25日 16時) (レス) id: cce1ac7323 (このIDを非表示/違反報告)
白崎 ツキト(プロフ) - やばい、すごい感動した。この作品に出会えて良かったです…!!! (2017年1月29日 19時) (レス) id: b835084626 (このIDを非表示/違反報告)
青りんご@しらすの人( 。∀ ° )(プロフ) - 莱都さん» あの、コメ欄のチャット行為は禁止されているのでそろそろ… (2016年9月24日 2時) (レス) id: 77bd0378ca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:13(ひみ) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5066ad29441/  
作成日時:2016年8月14日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。