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第四十八話 どこにも行かないで ページ3

嗚咽のような唸り声をあげる彼女の背中を摩る。窓と扉は開け、吐瀉物の臭いもマシにはなったが、彼女の容態はなお一層悪く思えてきて。

『ひゅ、ひぐ、うっゔう、ゔぐ、かっ、』

「大丈夫です、大丈夫ですよ。しんどいですね、しんぺいさんもあと少しで来ますからね〜。」

彼女は既に起きているが、容態の辛さに相手がどうだろうと今は関係は無いんだろう。私の服や腕を掴み息を整えようと必死になっている。本当は嫌なんだろうと自嘲を混じえながら、彼女の背を摩った。

『ゔっ、ひゅっ、ひ、ひっ、え、っえ゙、みる、』

「はい、エーミールです。大丈夫ですよ、無理しなくていいですからね。」

彼女が顔を上げる。涙と汗に濡れた顔に、赤色の艶のある髪が張り付いている。酷い汗だと、近くに置いたタオルを手に取り優しく拭く。口元を酷く歪ませ、その隙間からはか細い音が鳴っていた。

『っえ、みる、え゙、み、っひゅ、ひっ、ぐっ、はぁっぁっ』

「今は無理しないでください、大丈夫ですから。」

彼女は何度も私の名を呼ぶ。ぼろぼろと大粒の涙を流すオキニスの瞳は潤んでいるからか、月明かりでキラキラと輝いているように見えた。

『ひゅっゔ、ぐっ、は、はぁっ、い、か、っゔぅっ、ど、こに、もっ、はっ、はぁっ、いか、い゙か、ないで、』

「………!」

ずくりと、腹の底にある何かが蠢いたような気がした。
庇護欲を駆られるものは見たことはあるものの、こんなもの驚いた。感じたことのない、恐怖にも近いもの。

「…大丈夫です。大丈夫ですよ。そばにいますから、私は、エーミールはここにいますよ。平気ですよ。」

途切れ途切れの言葉になりながらも、うんと頷く彼女。
普段の彼女からは見れない、物凄く弱い一面。いや、弱い一面という訳では無いだろう。

本来の彼女こそ、こちらなのではないか。出会った時から、このような彼女は見なかった。どれだけ苦しい思いも、辛いこともしてきたのに、弱音すら吐かなかった。

…強いと思っていたけれど、違うんだ。本当は、違ったんだ。
あなたはずっと求めていたんだ。それを私達は見つけられなかった。

ずっと助けを、仲間を待ってたんやね、Aさん。

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五角形レンガ - すっげぇ、、、いや、感動でしかないです、凄すぎませんか!? (8月12日 10時) (レス) @page29 id: 142fcb5a32 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 神作品、、、ッッッッ (2022年12月19日 12時) (レス) @page29 id: 9753754a57 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 鴉さん» お!!そうですそうです!!!!いやあ知ってる人いた………!!!!! (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
- 作者様!!!!59話の夢主さんが言っている小説ってメディウムですよね!!!! (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: cdf302c4aa (このIDを非表示/違反報告)
GuriGura(プロフ) - う‘‘ぁ‘‘ッ、、、、、、、、、さ‘‘い‘‘こ‘‘う‘‘ッ‘‘、、、、、、、、、 (2022年9月25日 8時) (レス) @page29 id: b9eb3e9d2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はしばみ | 作成日時:2022年9月8日 23時

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