胃袋を掴んでしまった、という話。【rbr】 (ページ17)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:51,362 hit

あさはぱんはですねページ17

『え、若い男の人…。じ、自分の後輩かな…？』

「せやと思いますよ、自分よりずっと年下な声してましたから。多分インフルかなんかやと思われたんとちゃいます？」

『そ、それなら、よよ、よかったです、ふ、二日酔いで、あ、頭が痛いんで』

吐き気はないですかと聞かれ、頷く。二日酔いでよく吐く人は見るけど、自分はそんな経験はほとんどない。初めて飲んだ時以外は。

「あ、出来ましたよー。苦手やなかったら梅干しと一緒に食べてくださいねえ。」

『あ…ありがとうございます、わざわざ…。』

「前はあんまりお話できへんかったから、お話しとうて。」

茶碗におかゆをよそぐ。珍しい茶碗の見た目してんな…。あ、朝はパン派ですね…？中々主張激しいな…というか茶碗やろこれ。

『いただきます…。』

というか自分、昨日の格好からなんも変わってないんだよな。スーツのまんまだし、メイクも落としてない。終わってる。みたらしのご飯もあげてない、どうしよう…。

『あ…あの…。』

「ん、どうしました？」

『そ、の…ご、ご飯を食べさせてもらってる、立場で言うものじゃ、な、ないんですけど…。
え、えと、き、着替えとか、シャワーとか、あ、浴びたいんですけど…、だ、大丈夫ですか…？』

一瞬ポカンとしたが、なんやそんなことかと小さく彼が呟く。

「元々俺が無理矢理看病してんねんし、そんなん気にしませんよ？ほら、その…女性と男性って違いますから、色々価値観的なとこが。」

『そ、そ、ですか、ありがと、ございます』

さすがにみたらしのご飯だけでもあげないと。

『ご、ちそさまでした、』

「ん、お粗末さんでしたぁ。」

『よ、いしょ…じゃあ、ちょっと行ってきま、す』

「ちょお、フラフラやん…。丸田さんちの玄関までついて行きます。」

手を差し出され、それを掴む。すいませんと謝罪も加えて、歩き出した。

「っっっﾞわﾞ…っ！！あ、あぶ、だ、大丈夫ですか…？！！？」

『す、すいません、ちょっとふらついて』

足元が覚束ず、彼にトンと腕が当たる。
ゆっくり行きましょう、と赤い顔を押さえながら彼はそう言った。