第四十五話 傀儡 ページ47
『…"落ち着く場所"なだけね。物静かで、喧騒がない。好きとも嫌いとも断言できない場所だわ。』
「そう。あなたは神を信じる？」
『いいえ。』
彼女は首を傾げる。
『神なんていないと、私はそう思う。くだらない話だけど、そんな偶像を信じるより、同じ人間を信じていた方がよっぽど現実的だわ。』
「…神は、いるわ。今もこう、見守ってくれている。奇跡を起こして、人々を助けてくれる。」
『そう。なら私は神に見放されたわね。神は私を救わなかった。奇跡という名の偶然すら、起きなかった。』
暗い印象のある私と、可愛げのあったあの子。皆は、あの子の方へと寄り、好きになり、私を苛んだ。
神も顔や性格で人を選ぶのね。まるで人間みたい。
まぁ、慈悲のおかげかこうして私が立っていられるのかもしれないけれど。それは私の意思であって、神の思し召しでは無い。私を含めた人類、そして生き物は、神の傀儡などではない。
「…あなたは、罪を犯したから、神に見られなくなったのよ。」
彼女は、鋭くこちらを睨んでいた。ああ、なんだ。
最初から、全部疑っていたんじゃないか。
神だと言えば疑わず、その教えに背く者あればそれは罪人だと。
『罪？あなたの言うその罪って何？神の教えに背いただけで、何ら関係の無いあなた達に裁かれないといけないの？』
彼女は口を噤んだ。
『あなたが私を罪人だと言うのなら、』
教えてよ。
私が、何をしたって言うの。
ブランコから降り、そのまま歩く。拳は固く握り締め、痛いほどに。
彼女は目を見開いていた。
目を伏せ、そのまま教会を去った。
＿
ハイヒールの音が、冷たい廊下に響く。私の異様な様子に、兵士も女中も関わろうとしない。
「A、」そう、呼び止められた。
『……何』
呼び止めたのは、ゾムだった。いつにも増して真剣な顔で、面白くなさそうに口角は下がっていた。
「しんどそうな顔…しとったから。」
袖を軽く掴んだ彼。彼を軽く睨んだ後、ため息をついた。
『あなたには関係ないでしょう。』
「…ある。Aのことは全部関係ある。
今のAは嫌や。無理して我慢して、辛い顔してる。」
…ああもう。
なんなの、本当に。
本当に、あなた達って人は。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
