第三十一話 くたばれ ページ33
誰かの悲鳴が響く。
血の雨が降りそうなほど、辺りには兵士の死体が山のようになっていた。
「…チッ、お前らの相手してる場合ちゃうねん…。」
よろよろと立ち上がる兵士の首を掻っ切る。
嘆息し、眉をひそめた。
「"ゾム！城の方頼む！東西に幹部が1人ずつ、城ん中に総統含め6人おるはずや！"」
「オーケー任せろ」
自慢の足の速さで、城の方角へと走る。血なまぐさい匂いが、鼻を嫌にくすぐる。
幼い頃から大嫌いな匂いだったが、嗅ぐ度に、生き残っているんだと、自分は生きているんだとそう思える。
頭がおかしいと罵ってもらっても構わないが。
「……っ！？Aっ？！！！」
『…ああ、ゾム。』
ゆらりゆらりと、まるでゾンビのようにふらふらと入口から出てきた彼女。
酷い有様だった。顔も腕もアザだらけ、鼻からも口からも血が垂れて、所々から出血している。
「…お前、自力で脱出してきたんか。」
『…まあ、ね。新兵が通り掛かったタイミングで、演技して、出してもらったの。
途中、幹部とも会ったんだけど、くられ先生から貰った、猛毒で、どうにかなって、』
「あの爆発は？お前がしたんか？」
『…そうよ。保管してるところ、たまたま見つけて、爆発させた。』
途切れ途切れに、彼女が話す。
『ゾム、時間がないの、できるだけ、軍を撤退させて』
「なしてや？」
彼女の手には、リモコンのようなものが握られていた。綺麗な手だったのに、今は傷だらけで。
彼女はそれを、起爆装置だと言う。起爆することで、連鎖的に爆発を起こすことが目的だったらしい。
『ゾム、私を担いで』
「…分かった、任せろや！」
なるべく負担をかけないように、俵担ぎにする。しっかり掴まっとけよ、と言い走り出す。
綺麗なドレスも、破けてしまっている。どれだけ、酷いことをされたのだろうか。どれだけ、苦しい思いをしたのだろうか。
それを思う度に、腹の底からふつふつと怒りが湧いてくる。
『…ゾム、起爆するわよ』
「ああ、いつでも準備万端やで！」
『…くた、ばれ！』
カチッと、音がした。
次の瞬間＿
「ヒュ〜♪」
先程の爆発よりももっと、地鳴りのようなものと共に大きな爆発音を鳴らした。土煙が自分達を覆う。
『ゾム、近くの森に寄って』
「ん？分かったけど、なんで？」
『いいから』
彼女の意図は分からなかった。けれど、ここにAがいるって、そう思ったら。
心の底から、すごく安心した。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
