三日目、青。 ページ20
「ふむ…。」
ふむじゃないだろと、後ろから呆れたような声が掛けられる。グルッペンは、お前はそれでいいのかとAを睨むように見た。
「来るものは仕方ないしな。まったく、せっかく甘いものを作ってやろうとした矢先に。」
「俺は隠れた方がいいのか？」
「…まぁ、この先のことを考えておくと、だな。私にも計画ってもんがあるんだ。それを崩されては困るからな。」
「計画、か。」
そのためにも、この男にはいてもらわねばならん。Aは、ローブを身にまといフードを深く被った。
「なあ。」
グルッぺンにそう、話しかけられる。
「なんだ。お話するほど暇ではないぞ。」
「簡単な質問だ。
…お前は、何者だ？」
真っ直ぐなその双眸に狼狽えるも、以前にも言っただろうとAは紐をきつく締めた。
「A・セレクターリ。これが＿」
「それ以外を、俺は何も知らない。」
凛とした声が、部屋に響いた。
「お前のことも、その計画とやらも、何も知らない。」
嫌に情熱を孕んだ瞳が、Aを射ている。
息苦しさすら感じた。
「………。
明日になったら、きっと話す。気が向いたらだが。」
「今話せ。」
「その義理はお前にはない。」
「総統命令だ。」
掴まれた腕を、Aは振り払う。その顔は怒りを顕にしていて。
いつ、お前の配下となったと、Aは地を這うような声を出した。もううんざりだ、クソッタレ。
かつての記憶と重なる。
＿王家に相応しい青は、これからのこの国を担う色だ。血のようなお前の色も、母親も、必要ない。
黙れ。お前に何が分かると言うんだ。母がどれだけお前に尽くしてきたか。どれだけ尽くしてきても振り向かなかったお前が、お前が言えたことじゃない。クソが。
はあ、と息を吐き出した。
「喧嘩したいわけじゃない。…着いてこい、少しばかり薄暗いが、見つからない場所がある。」
グルッぺンが着いてくるかどうかは分からなかったが、Aは歩き出した。半ば嫌になって、逃げ出したくなって。
もし彼のような青を持っていたのなら違ったのかもしれないと、Aは思考に影を落とした。
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かきくけの(プロフ) - すごい、作品ですね…(小並感)久しぶりに神作品に会えました！ (2022年10月15日 7時) (
レス) @page24 id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 神様ですか？神様ですね。こんな、素晴らしい作品を作っていただき、ありがとうございます！ (2022年10月6日 8時) (レス) @page24 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
月の光 - おっと神のような作品を見つけた。オークションものは結構あるけどネタ物が多いからこんな感じのすごくうれしいし好みです！！応援しています！ (2022年10月1日 22時) (レス) @page5 id: f3c01cad39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年10月1日 16時
