二日目、窮屈な幸福。 ページ13
Aは鼻歌をまじらせながら、夕暮れ時に我が家へと帰った。軋む廊下を歩き部屋へと戻ると、ベッドの上で横になっていたグルッぺんを見る。
本を読んでいたのかとAが言うとああ、と空返事が返ってきた。
「興味深くてな。眠たくなるほど面白い。神の教えを説かれているようだ。」
本当は興味なんてないんだろうなと思いながら、Aはローブを脱ぐ。Aが紙のケースを机へと置くと、すぐさまグルッぺンは本を閉じ、椅子へとさっと座った。
「…そろそろお前糖質摂りすぎで死ぬんじゃないか。」
「そんなもんで死にはせん。俺は一応総統だぞ。」
そんな頑固親父みたいな。
ぱくぱくと食を進めるグルッペンの傍に、Aは箱を置いた。
「もっきゅもっきゅ…んぐ、それは？」
「靴だ。服と合うように選んだが、窮屈そうなら言ってくれ。」
食の手を止め、グルッぺンが箱を開けると、そこには綺麗な革靴が入っていた。黒のまさに高級そうに、踵のところには金のラインが入れられて。
「…こんな高そうなもの、いいのか？」
「全然安いさ。高いものなら人になんてやらん。履けるかは知らんが、どうぞ。」
グルッぺンが足を通す。
まるでシンデレラのガラスの靴かのように、ピッタリと。
「…寝ている間にサイズでも測ったか？」
「お前より先に寝た私にどう測れと。夢遊病者か？私は。」
そうからりと笑うA。その笑みは紛れもない本物だと、グルッぺンはそう思った。
「…大切に、履かせてもらう。」
「ああ。」
苺を頬張ったA。口端についたクリームを舐めとり、フォークはケーキを刺した。
グルッぺンも甘みにとろけどことなく嬉しそうで。
少しばかり窮屈だが、幸せな時間が、流れていた。
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かきくけの(プロフ) - すごい、作品ですね…(小並感)久しぶりに神作品に会えました！ (2022年10月15日 7時) (
レス) @page24 id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 神様ですか？神様ですね。こんな、素晴らしい作品を作っていただき、ありがとうございます！ (2022年10月6日 8時) (レス) @page24 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
月の光 - おっと神のような作品を見つけた。オークションものは結構あるけどネタ物が多いからこんな感じのすごくうれしいし好みです！！応援しています！ (2022年10月1日 22時) (レス) @page5 id: f3c01cad39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年10月1日 16時
