二日目、英雄。 ページ11
「思えば軽く軟禁だな。」
薄く笑ったグルッペンをAは睨んだ。
「物騒なことを言うな。好き勝手させてるのだから少しばかりは我慢しろ。」
一応立場的には私はお前を買取った身なのだぞとAはそう言いビショップをキングの隣へと移動させた。
チェックメイト。そう呟くと、くそうとグルッぺンは顔を歪ませた。
「何故こういうものは規則的な動きしか出来んのだ。いずれは架空なのだから空ぐらい飛んでもいいやろが。」
「それがルールだ。」
「くそう…ミサイル発射！」
グルッぺンはクイーンを手に取ると、そのままミサイルのように不規則に宙を舞わせ、Aのキングへと突進する。こてんとキングが倒れると、やったーと子供のようにグルッぺンが万歳をした。
「阿呆らしい。」
「世の中は姑息な真似も勝利を掲げれば誰だって英雄だ。負けたやつは死ぬ、勝ったやつは生き残れる。」
この世はそういう理論でできてるだろう。そう言い、グルッぺンは握った駒をボードの上へと落とした。
「…レールも沿えないやつが英雄を語るんじゃないよ。」
Aは駒を丁寧に並べると、椅子から立ち上がった。もう終わりかとグルッぺンは首を傾げる。
「退屈なんだろう。ケーキでも買ってきてやろう。」
「いいのかっ！？」
「食い気味だな。」
甘いものには目がないのは、私との共通点だなとAはそう思った。
上着を脱ぐと、躊躇い無いなとグルッぺンがそう言うので。
「何だ、欲しかったか？恥じらい。」
「…情緒程度は欲しかったな。」
「理性的だと言ってくれ。」
ローブを纏い、肩につく金髪を結ぶ。鏡に映った猩の双眸が、鋭くこちらを見ている。
良くも悪くも、母に似ているせいかあまり鏡は好きではないなと目を伏せた。
苦笑いを浮かべたグルッぺンをよそ目に少し出てくると声をかけたA。ポケットに便箋を突っ込み、扉を出た。いってらっしゃいと背中を追うように、グルッぺンの声が、ひとつだけ。
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かきくけの(プロフ) - すごい、作品ですね…(小並感)久しぶりに神作品に会えました！ (2022年10月15日 7時) (
レス) @page24 id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 神様ですか？神様ですね。こんな、素晴らしい作品を作っていただき、ありがとうございます！ (2022年10月6日 8時) (レス) @page24 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
月の光 - おっと神のような作品を見つけた。オークションものは結構あるけどネタ物が多いからこんな感じのすごくうれしいし好みです！！応援しています！ (2022年10月1日 22時) (レス) @page5 id: f3c01cad39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年10月1日 16時
