一日目、傷跡。 ページ5
「……お風呂、感謝します。」
あれから少し待っていると、扉からグルッぺンが出てきた。濡れた髪と共に、微かに花の匂いがする。肌についていた汚れは落ちているようだ。
ワンピースが可愛らしくも思えるが、流石に成人男性には似合わないものだな。
まあ着ている人物がどうだろうとどうだっていい。
「これから食堂に向かう。そこで怪我の治療だ。」
「はい。」
頷いたグルッぺン。変わらず革靴を履いているが、そこはまあ仕方ない。違う靴を後で与えようと、歩き出した。
食堂へと着く。近くの椅子へと座らせると、Aは用意していた救急箱を開いた。
上半身は主に傷が酷かった。戦傷もあるのだろうが、動いたからか傷が開いているものや深いものだってある。底へ消毒をかけると、グルッぺンは痛いと言葉を漏らした。包帯を巻き、暫く安静。
足は打撲。骨までは行ってないが、変色して赤黒いものまである。湿布を伸ばしてはる時も、グルッぺンは顔を顰めた。太腿には酷い傷があるものの、下着をつけていないせいか少しばかりの抵抗を見せるグルッぺン。
捲るだけでいいのにとAは言うものの、グルッぺンは否定する。
嫌なら手ででも隠しておけと捲り、深い傷に消毒液を垂らす。びくりとグルッぺンの足が震えた。
足の裏も擦り傷や刺さったガラス片で酷かった。血だらけの上、細かいせいか抜けもできない。
「少し痛むぞ。」
ピンセットで1つずつ抜き取る。それと同時に傷口から血が溢れ出していた。片足を終わり、もう片方の足。それも終わると、消毒をして、包帯。
「…終わりですか？」
「ああ。…いや。」
両足の小指の側面が剥けている。無理に靴を履いたせいか、靴擦れが起きたのだろう。絆創膏を貼り、今度こそ終わりと言うようにAがぱたんと救急箱を閉じると、グルッぺンは肩の力をふっと抜いた。
「飯は温かいものを作ろう。大したものは無いが、スープとパン程度なら。」
袖を捲り、水を入れたヤカンを火にかける。それと同時に切ってあるパンにバターを塗り、あみの上へと乗せオーブントースターへと。
そろそろという頃合いにはグツグツと水は沸騰して、パンも綺麗に焼き色がついて。粉を入れたコップにお湯を入れ、かき混ぜる。パンにはピーナッツを塗って。
「はい、大したもんじゃないが。」
グルッぺンは、目を輝かせていた。
久しぶりの食事なのだろう、パンに食らいついた。
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かきくけの(プロフ) - すごい、作品ですね…(小並感)久しぶりに神作品に会えました！ (2022年10月15日 7時) (
レス) @page24 id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 神様ですか？神様ですね。こんな、素晴らしい作品を作っていただき、ありがとうございます！ (2022年10月6日 8時) (レス) @page24 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
月の光 - おっと神のような作品を見つけた。オークションものは結構あるけどネタ物が多いからこんな感じのすごくうれしいし好みです！！応援しています！ (2022年10月1日 22時) (レス) @page5 id: f3c01cad39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年10月1日 16時
