一日目、飼う。 ページ3
Aが案内された場所は、薄暗い地下室だった。うるさいほどに、うめき声が響いている。腥い匂いに、Aは鼻を摘んだ。
先程渡された鍵の番号は奥の方だった。薄暗い廊下が牢屋の中を照らす。金髪の男が、すっからかんな空間に座っていた。
どんな状況でも風格は崩していないのだなと、Aはそう思いながら鍵を開けた。軋んだ音に気がついたのか。金髪の男、グルッペン･フューラーは顔を上げる。
憎たらしい青が、そこにあった。
このまま見ていたら殴りでもしそうだなと目を逸らし、行くぞとAは声をかける。無言で着いてくるあたり、従順ではあるのだなとAは思った。
しかしばかり靴を履いていないせいか、グルッぺンは顔を顰めている。少なからず足の裏は地獄だろうなと後ろを時々確認しながらAとグルッぺンは出口へと向かった。
「おやおや、これはこれは可憐なお嬢様。それをお買いしてくれたのですよねぇ？」
ではお支払いを。目の前に立つ男の鼻につく態度に苛立ちを覚えながらも、Aは持っていたアタッシュケースを床へ置いた。
＿あ。Aは気付く。
この男、靴を履いている。
「…ふむ、丁度だ。またのお越しをお待ち＿」
ああ、じゃあな。Aがそう呟くと、男は一瞬目を見開いたと思ったらがたがたと体を震わせ地面へと伏した。腹に刺したナイフを抜き取ると、血飛沫が舞う。
「…これを履け。」
Aは男の履いていた革靴を脱がせる。嫌な匂いがしたが別にまあいい、すぐに捨てる。
躊躇ったもののAの視線に気がついたグルッぺンはすぐにその革靴を履いた。少し窮屈なのか、踵を踏んで。
行くぞとAが声をかけるも、グルッぺンは足を止めている。その瞳はAを射止めていた。
Aは薄ら睨んだ後、歩き出す。グルッぺンも後を着いてくる。
クソ、とAは思った。
背も顔もまるっきり変わったのに。
右眼の猩だけが、同じ。
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かきくけの(プロフ) - すごい、作品ですね…(小並感)久しぶりに神作品に会えました！ (2022年10月15日 7時) (
レス) @page24 id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 神様ですか？神様ですね。こんな、素晴らしい作品を作っていただき、ありがとうございます！ (2022年10月6日 8時) (レス) @page24 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
月の光 - おっと神のような作品を見つけた。オークションものは結構あるけどネタ物が多いからこんな感じのすごくうれしいし好みです！！応援しています！ (2022年10月1日 22時) (レス) @page5 id: f3c01cad39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年10月1日 16時
