三日目、蒸発。 ページ16
トントンは、死体の上へと立っていた。空は立ち上がる炎の煙のせいか、真っ黒に染っていて。完全に、太陽は隠れていた。
「おい」
低い、ドスの効いた声が響く。唖然としていたからか、少しばかり鮮明に聞こえたその声の方をトントンは向いた。コネシマ。金髪の、空のような澄んだ瞳を持った男が、血だらけの兵士の胸ぐらを掴んでいた。
殆ど、死んでいるようなものだろう。呻き声をあげるばかりで、なにか言葉を言うようでは無い。
「おい、グルッぺンはどこにおんねん。うちの総統は、どこにおんねん。おい、…チッ。」
「イラついてても分かるわけちゃう。ここにおんのは確かなはずや。地下牢でもなんでも、全部暴くぞ。」
「…分かっとるわ。悪ぃな。」
おう、とトントンは短く返事をして、再び走り出した。戦場は慣れていたが、血はあまり好きではない。
堕天使だの鬼神だの言われるものの、その内面は臆病なところばかりあったから。
だから。
だから、あんたが隣におらんとあかんのや、グルッぺン。
トントンは心の内でそう叫んだ。
ピピッと、高い音が耳元から鳴る。ゾムからの通信だった。
「ゾムか！？グルッぺンは！居ったか！？」
息切れのせいか、声が跳ね上がる。だがゾムの声は焦りもいり交えた落ち着いた声で、
「国王は見つけた。情報は全部吐いてくれたけど…、
グルッぺンを、売ったんやと、それでついこの間、知らんやつに買われたとかって、」
一瞬、何を言われたか分からなかった。トントンは思考停止していた。長い無言が続く。
通信の向こうで、ゾムが苛立ちから物に当たったのだろう、ガシャンと何かが割れる音がした。
「売られた場所は闇オークションや。もちろん監視カメラとかもあるはずがない。それの場所が分かったとて、グルッぺンがどこの誰に買われたんかすら、分からん。」
どうすればいい？と声を震わせたゾムが、トントンへと問う。
「……、…、お前の、判断に任すわ。そいつを殺すも生かすも、お前の自由や。」
「トントンは、どう思ってんの？」
「……。
殺せ。殺してくれ、そいつを。絶対に、許せへん。」
繋ぎ止めていた理性が、ぷつりと切れたような気がした。
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かきくけの(プロフ) - すごい、作品ですね…(小並感)久しぶりに神作品に会えました！ (2022年10月15日 7時) (
レス) @page24 id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 神様ですか？神様ですね。こんな、素晴らしい作品を作っていただき、ありがとうございます！ (2022年10月6日 8時) (レス) @page24 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
月の光 - おっと神のような作品を見つけた。オークションものは結構あるけどネタ物が多いからこんな感じのすごくうれしいし好みです！！応援しています！ (2022年10月1日 22時) (レス) @page5 id: f3c01cad39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年10月1日 16時
