【QK】外伝・神様は旦那様 (ページ42)

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｢…こんな私を、好きになってくれる人いるのかな？｣
｢意外と近くにいるかもよ？｣
｢そうだといいな。｣

心当たりもない人物像に、
なぜかよしくんの顔があてはまった。

？

何故だろう？正面に座るよしくんの顔を思わず見つめる。

｢柚、どうしたの？｣
｢あ、ごめん。なんでもない。｣

分からない感情をアルコールと一緒に飲み込んだ。

たくさん話したし、たくさん飲んで少し楽になった気がする。

「よしくん、今日はありがとう。」
「いいえ、辛くなったらいつでも頼ってよ。」
今度からは有料だけど、
っと笑いながら2人で駅まで向かう。

「あれ？山本くんに、柚ちゃん？」
「え？あ、Aさんと

…河村さん。」

さっきまでの夢心地は突然現実に引き戻された。

「柚、大丈夫？」
小声で、私に話しかけるよしくん。

やっぱり、好きな人が隣にいないのは
こんなに辛い事なんだ。

不意に、涙が私の頬を伝う。

「え？！柚ちゃん！？どうしたの？大丈夫？」

そして、好きな人の好きな人を

嫌いになれたどれだけ良かったのだろう。

おとぎ話に出てくる悪女だったら、

どれだけ良かったのだろう。

「Aさん…。」
「っと…カラオケ！まず、中に入ろ！」

この人は、優しく大好きで、私の憧れだ。

近くのカラオケに4人で入る。
Aさんは、女同士で話すから、
河村くんと山本くんもう一部屋取っといて。
そう言って、二手に別れカラオケの室内に入った。

渡されたAさんのハンカチは
ぐちゃぐちゃに濡れてしまた。

「Aさん、すみません…ハンカチが…」
「いいよ、気にしないで！洗えば大丈夫。
それより柚ちゃん、どうしたの？
お話しできる？それとも、話したくない？」

普通ならあなた達の事で泣きましたなんて言えない。
しかし、泣いたことによって
私の感情は堰を切ったように溢れてしまった。

「Aさん、ごめんなさい、ごめんなさい。」
脈絡もなくただ謝り続ける。

手を握り、深くは聞かず、
ただ相槌を打ち続けてくれるAさん。

「私、河村さんが好きです。好きなんです。」

ついに、言ってしまった。