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日が暮れ、そろそろAさんが帰ってくる時間。
僕はAさんの作り置きシリーズから、
照り焼きチキンとレタスとキュウリ、トマトのサラダ、
ご飯はそろそろ炊けるし、お味噌汁の準備もできてる。
副菜にひじきの煮物とナスの揚げ浸しも小鉢によそっとこう。
夕飯の準備がほぼ整った頃、ガチャっと玄関の開く音がする。
｢ただいまー。｣
｢Aさん、おかえりなさい。｣
｢お！拓哉くんがエプロンつけてるー！美人妻だ！｣
｢からかわないでよ。｣
｢えへへ、わー！お夕飯準備してくれたの？ありがとう！｣
｢…ご飯にする？お風呂にする？それとも…ぼく？｣
コテンっと首を傾げAさんに上目遣いをする。
｢え、まって、キュンってしちゃうから。可愛いー！
一緒にご飯食べて、お風呂はいって、
お揃いのパジャマ着て寝ようね。｣
｢…欲張りさんですね。｣
｢え？ダメ？｣
今度はAさんが上目遣いをしてくる。
｢ダメじゃないです…けど、
いつもの時も一緒にお風呂入っていいんですよ？｣
｢それは、恥ずかしい…。｣
｢今更…僕としては今の姿の方が
恥ずかしいのですが。｣
｢だって、女子会みたいで…
ちょっとテンション上がっちゃいました。｣
しゅんっと、謝るAさん。
｢中身は変わってないですからね？｣
僕は釘を指したが、Aさんに伝わってるだろうか？
用意したご飯を食べ、お風呂に入る。
女性の体になって改めて
Aさんの胸が豊満なのを実感する。
｢…Aさん、肩凝りないですか？｣
｢凝るけど、どこ見て言った？｣
長い髪を乾かすのが重労働だと初めて知った。
｢腕痛い…。｣
｢ロングだもんね…お手伝いするね。｣
丁寧に乾かしケアされる僕の髪。
心地良さにウトウトしかける。
｢お眠ですか？｣
｢気持ちよくて、Aさんありがとう。｣
｢どういたしまして。｣
そして僕らはベッドに入った。
｢ふふ、妹とかいたらこんな感じかな？｣
｢どうだろね？僕男だからわかんない。｣
｢今は女の子じゃん。｣
｢中身は僕だから。｣
｢それはそうだけど…
あ、なんか志賀くん今日も暴走してたよ。
百合がっ！！って言ってた…。｣
今日のオフィスの出来ごとに聞き頭が痛くなる。
アイツそんなやつじゃないよね？
ご都合主義の犠牲者だな、志賀もと少し憐れむ。
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作者名：檸檬 | 作成日時：2022年4月2日 11時
