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｢いただきまーす。｣
モグモグとケーキを口に入れる。
｢…須貝くん、｣
｢ん？なに？｣
お茶を啜り返事をすると、
真剣な顔してこちらを見ているAちゃん。
｢めっちゃ美味しい…、どこのケーキ？？｣
｢…ごめん、秘密。｣
あそこは俺の秘密の場所。
彼女になら教えてもいい気もするが、
まだ俺だけが知ってる場所にしたい。
｢そっかー、残念。優しい味だね。
他のケーキも食べてみたい。｣
｢ここ、チーズケーキがオススメ。
コーヒーとめっちゃ合う。｣
｢そうなの？…けど、秘密なんでしょー。
幻の味だね。｣
ケラケラと笑う無害な彼女に、
俺は何故だか思わず相談してしまった。
｢…ちょっと相談してもええ？｣
｢お！どうしましたか、須貝くん。
お姉さんに話してごらん。｣
なんだか楽しそうに、俺の話を聞き出す。
｢相手に気持ちを伝えるのって、どうしたらええと思う？｣
｢あ、ごめん。苦手分野だったわ。｣
自己評価が極端に低い彼女は、
他人からの気持ちも過小評価で受け取ってしまいがちである。
｢…須貝くん、それは恋ですな。｣
そのくせ、他人の感情には敏感なのである。
｢…まぁ、その…はい。｣
｢うふふ、青春だねー。｣
ニヤニヤとお茶を啜る。
何か考えながら、1口ケーキを口に運び咀嚼する。
それを飲み込むと、
｢ここのケーキ売ってるお店の人？｣
｢え！？なんで分かるん？！｣
｢ん？ケーキ褒めた時すごく優しい顔してて、
場所聞いたら嫉妬？みたいな顔してたから、なんとなく。｣
｢ヤバっ。｣
酷いなーっと笑う彼女に、喫茶店の事、一目惚れの事、なにもアプローチ出来てないことを話す。
｢須貝くん…意外に奥手なのね。｣
｢人見知りとかしないんやけど、
なぜか、なぜか桃さんにはその…ねぇ？｣
今の現状に甘んじて一喜一憂を楽しむ、
高校生みたいな片想いをしている実感はある。
｢大切なんだね、彼女のこと。｣
｢大切…俺が臆病なだけやない？｣
｢ふふ、それは須貝くんの行動次第だよ。｣
それから、度々お姉さんの恋愛相談室が開催されるようになった。
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作者名：檸檬 | 作成日時：2022年4月2日 11時
