須貝くんと恋 ページ14
今日は来るかな？
静かな喫茶店で、想い人を待つ。
須貝駿貴さん
私の待ち人、想い人。
彼がYouTuberだと知ったのは2年程前。
それまでは、ただの常連さん(学生)だと思っていた。
…間違いではないのだが、有名人だとは思わなかった。
たまたま流し見していたYouTubeに
彼が映っていたのに驚き持ってたマグカップを落とした。
彼がYouTuber、有名人だから好きになったのではない。
好きになったのはもっと前からなのだ。
私は都内にある喫茶店で働くアラサー女。
学生の頃からアルバイトしていた喫茶店にそのまま就職した。
カフェとかキラキラした感じではなく、
レトロな佇まいの｢喫茶店｣なのだ。
常連さんも多く、裏路地にあるので
｢知る人ぞ知る｣そんな場所だ。
経営大丈夫？っと心配されるが、そこはご心配なく。
マスターの作る焼き菓子や厳選したコーヒー豆のセットなど、ネット販売したら当たったのだ。
ネット販売を提案した身としては、ホッとした。
カランコロン
お客様が扉を開ける音がする。
｢いらっしゃいませ。あ、こんにちは。
いつものお席空いてますよ。｣
｢こんにちは、ありがとう。｣
思い出に深けていると、やってきた想い人。
画面の中とは違い、落ち着いた雰囲気の須貝さん。
私はコッチの彼しか知らなかったから、
動画の中の彼に最初は違和感を覚えたが、
笑った顔や真剣な顔は彼そのものだったので、
その違和感はゆっくりと消えていった。
｢今日は何にしますか？｣
お水とおしぼりを彼の座る席に持っていく。
｢んー、桃さんのオススメは？｣
｢お食事なら日替わりは、ふわふわ卵のオムライス、
軽食はたまごサンド、デザートならシフォンケーキです。今日は卵がオススメですね。｣
…大量に仕入れてしまった卵を使うのに必死のマスターを助けるため、私もゆるくお手伝い。
｢じゃー、たまごサンドで。コーヒーはいつものね。
…あと、持ち帰りでシフォンケーキお願い出来る？｣
｢もちろん。リボンはつけますか？｣
｢差し入れだから、大丈夫。ありがとう。｣
｢わかりました。少々お待ちください。｣
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作者名：檸檬 | 作成日時：2022年4月2日 11時
