テレパシー(前編) (ページ6)

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[宮近side]

コンビニで偶然出会ったAは早口で話し続けていた。

「うみもくらちゃんもいて、すっごく驚いたんだよ！」

『俺らもAってわかったよ』

「最初に気付いてくれたのちゃかちゃんだよね♪」

『///』

顔が赤くなるのがわかった…ニコっと笑いながら、そんなこと言わないでくれ～。

『ここのコンビニはよく来るの？』

「うん、駅からの帰り道でうちのすぐ近くだから。ちゃかちゃんもこの辺に住んでるの？」

あ…もしかしてご近所さんなのかも。
こっちまであんまり来たことなかったからな～。
俺がふむふむと考え込んでいたら、顔を曇らせて言った。

「あ、そうだよね。ごめんね、おうちがどこなんて言えないよね」

『あの、そういうわけじゃ…』

「こんなところもファンの方に見られたらよくないよね。もうちゃかちゃんはテレビに出ている人なんだもんね…ほんと、ごめんね」

『A、すぐごめんねって言う』

「あ、ごめんね…あっ！ｗｗｗ」

『ｗｗｗ』

Aが東京にいる理由やコンサートにきた経緯など少し会話をし、

「時々ここで会えるかもしれないね」

じゃあ、またね！とAは笑顔を見せて、俺のうちと同じ方向に去っていった。
俺はスマホをいじってからコンビニをあとにした。

必然的にAのあとをつけるような形になる…。
でも！俺んち、こっちだし！仕方ないよね！

うっかりAのうちがわかっちゃうかもしれないけどね！
ちょっとドキドキしながら歩いていると、

『マジかよ…』

公園の手前のアパートにAは入っていった。

『ちょっと休憩しよ～』

しなくてもいい言い訳をしつつ、俺は公園のベンチに座った。
電気のついたところが…Aの部屋かもしれない。

『あ…』

4階のはじから2番目の部屋。
誰かはわからない人影がレースカーテンにうつる。

向かいのマンションに目をやると、7階の電気がついていない出窓…俺の部屋。

公園を挟んで、こんな近所に住んでいたのか…？！
うわ～、ものすごくドキドキしてきた！

落ち着かせるために、ペットボトルのお茶を半分一気飲みしてからうちに戻った。

出窓からは、しっかりAの部屋(であろう)ベランダが見えた。
厚手のカーテンが閉められたので灯りがついていることくらいしかわからないけど…

『あそこにAがいるのかもしれない…』

出窓でIQOSを吸うのが俺の日課になりそうだな。