テレパシー(前編) (ページ4)

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[宮近side]
㏌2006

3年生になって、Aとクラスが離れてしまった
同じ名前ということで自然と仲良くなった海人ともクラスが離れてしまい、しばらくの間はグズグズだった。

『お腹痛い…』

母「ビオフェルミン飲みなさい」

『頭痛い…』

母「学校行くまで冷えピタ貼ってなさい。毎朝、どうしたのよ？」

『だって…だって…(ウルウル)』

海人がいないから、Aがいないから、とは言えなかった。
登校班の集合場所までお母さんに連れられ「海斗のこと、よろしくね」と女子ふたりに託される俺。

『A、帰りも来てね…(ウルウル)』

「うんうん、今日もがんばってね！ちゃかちゃん！」

教室の入り口で肩をポンポンとたたいて見送られる。
Aを守るどころか、俺が守られていた…。

クラス内の陰キャになりかけた俺を踏みとどまらせたのはさらに上をいく陰キャの登場だった。

松「横浜から引っ越してきました、松倉海斗です…。よろしくお願いします…」

『俺と同じカイトだ！』

海人とクラスが離れたけど、新しいカイトがやってきたｗ
席も前になった松倉は休み時間のたびにうつむき、殻に閉じこもっていた。

さすがに心配になり、

『ねぇ、大丈夫？？』

松「…う…うん」

『俺も名前が海斗っていうんだ。宮近海斗。よろしくね』

松「漢字も一緒なんだ！」

声をかけたのをきっかけに話すようになり、松倉も俺も陰キャ沼から脱出したｗ

[Aside]

ふたりとクラスが離れてしまった。
うみとは1年からずっと同じクラスだったけど、3年になってようやく話すようになった。

「中村くんはちゃかちゃんと同じカイトって名前だよね？」

海「海斗とは字が違うんだよ。俺は”海の人”って書くんだ」

「海の人か～。泳ぐの早そうｗ」

海「俺のこと、うみって呼んでよ」

「うん、わかった」

ちゃかちゃんは学年が変わった途端に登校拒否気味になり、ゆみちゃんと毎朝かわりばんこに手をつないで登校していた。

「今日もがんばってね！」

『…うん』

目をウルウルさせて教室へ入っていくちゃかちゃんは可愛かった。
クラスではゆみちゃんが様子をみていたけど、松倉くんという友だちができてからは以前の明るさを取り戻した。

『松倉、公園でサッカーしようぜ！』

帰りも松倉くんと帰るようになり一緒にいる時間もだんだん減った。
さらにちゃかちゃんはダンスも習い始めたからほとんど話さない日が増えていった。