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[宮近side]

Aに、また会えた。

練習していた食事の誘いやLINE交換はできなかったけど…
彼氏と関係を解消したこと・バイト先のこと・また会う約束ができたこと。

俺にとってはものすごい進展だった。

マスクの下でニヤニヤしながら部屋に戻った。
IQOS片手に出窓へ行くと、


『あれ?電気がついてない??』


Aの部屋が真っ暗だ。
よくよく見てみると、窓際にAがいる??


『えっっ?』


ドキッ…泣いてる??
暗くてはっきりは見えないけど、手でしきりに涙を拭いているみたい。

あぁ、顔を覆ってしゃがみこんでしまった。
ベランダの柵でもう見えない…。

A、大丈夫か?
平気なふりしていたけど、やっぱり傷ついていたんだな。

近くにいるのに、泣いているのに、声もかけられない。
胸が締めつけられた…。




俺はすぐにでもバイト先のパン屋に行きたかったが、スケジュールがあわずにいた。
出窓から灯りをみるだけでベランダに出る様子も見られていない。


海「最近、朝から晩までスケジュールいっぱいだな」

如「ありがたいことだよ」


ボケーっとふたりの会話を聞いていると、


七「ちゃかちゃん、元気なくない?」

『しめってそういうの案外すぐに気付くよな』

閑「元気ないってことかよ」

『……』

如「何かあった?具合悪い??」

『あぁ、あ〜、そういうんじゃなくて、ちょっと疲れちゃってるだけw』


あぶない、あぶない(汗)

今ので海人あたりは怪しんでないか……あー、バッチリ目があった(苦笑)
気付かないふりをして、やり過ごした。



パン屋に寄れる日がきたのは、4年に一度の2月29日だった。
いそいそと準備をしながら、ふと今日Aがいるのか心配になった。

いつもと違う路線の駅に向かう。
商店街を通り、わき道にそれたところにお店があった。


『よかった、いた』


ショーケースの奥に三角巾をしたAをみつけた。


「いらっしゃいま…あ!ちゃかちゃん!来てくれたの」

『うん、傘を返しにきたよ。ずっと借りたままでごめんね』


バケハにマスクもしているのにすぐに気付いてくれた。
元気そうにしている、良かった。


「わざわざありがとうね!」

『“魔女の宅急便”にでてくるようなお店だね』

「わかる?!ちゃかちゃん、すごい!」

「私がジブリ好きって言ったら、店長がパンリースもつくってくれたのよ」


キキは髪が短いけど、Aにあわせてパンリースの女の子はポニーテールになっていた。

*→←8.交換



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作者名:みー | 作成日時:2020年9月27日 21時

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