テレパシー(前編) (ページ13)

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7．目撃ページ13

[宮近side]
in2020

1月末の雪がちらつく朝、あったかい緑茶をもって出窓へ行くとタイミングよくAがでてきた。
久しぶりのA、パジャマに上着を羽織った寝起きの姿で嬉しそうに雪を見ている。

『嬉しそうにしちゃってｗ』

可愛いなｗ

『今日は休みなのかな……あ…』

Aが振り返り、誰かに話しかけると、室内からスエット姿の……男が、でてきた。

そうだよな、付き合っている人がいてもおかしくないよな。
一緒に住んでるのか？泊まっただけ？

どちらにせよ、そういう関係ってことだよな。

今度Aに会ったら…とドキドキしていた気持ちがスーッとかき消された。
そのかわりに鉛のような重みが胸にズシリとのしかかった。

『冷たっ』

出窓に置きっぱなしになっていた緑茶はすっかり冷えてしまった。

[Aside]

彼「じゃあ、また来週。行きたいお店、考えといてね」

「うん、LINEするね。雪ですべらないように気をつけてね」

軽くキスをして、やすくんは帰っていった。

「はぁ…」

カレンダーを見て、ため息をつく。
もうすぐバレンタインデー。

今年はどんなプレゼントがいいかな？
思い出に残るようなもの？それとも残らないもの？？

「ちゃかちゃんはたくさんのチョコをもらうんだろうな～」

どこに送ればいいんだろ？私も送っちゃおうかなｗ
あ…やすくんへのプレゼントを考えてたのに、ちゃかちゃんに気持ちがいっちゃうなんて。

「はぁ…私ってイヤなやつ～」

あれから何度もコンビニにも行った。
ちゃかちゃんには一度も会えていない。

もうあんな偶然は訪れないのかな。

「あ～、またちゃかちゃんのこと、考えちゃってるじゃん」

いろんな思いがグルグルしながら、バレンタインデーが近づいていった…。

[宮近side]

2月14日…バレンタインデーがやってきた。
今日は朝からまた雪。
世間のカップルたちは「ホワイト・バレンタイン♪」なんて浮かれているんだろうな…チッッ。

俺にとっては、雪＝この前の光景が浮かび、もはやトラウマ化しそうだ(泣)

この仕事をしていれば、「大好きです」なんて可愛く書かれたファンレターをたくさんいただく。
バレンタイン当日につくように考えて送られたみんなからの愛が今年も届いていた。

如「この時間が何より幸せだな」

ノエルの言葉にメンバーたちは頷き、じっくりと読んでいた。
俺はこんな気持ちのままで読むのは申し訳なく、ひと足先に帰ることにした。