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良い人 ページ9

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「…ん」

次に目を覚ました時は既に夕日が空に差し掛かっていた頃だった。1時間程意識を飛ばしていたのだろうか、身体を起こそうと力を入れてみるものの痛みで腕に力が入らない。咄嗟の痛みに顔を顰めたAは辺りを見渡してみる。…あの男達のアジト?にしては周りに犬やら猫やらが数匹居るので何かと辻褄が合わない。

とにかくどうにかしてここから逃げ出さなくては春千夜にも怒られてしまう。Aは左腕に付けられている包帯に目をやりながら足を使って身体を何とか起き上がらせる。予想通りAが持っていた銃などの武器は回収されていて彼女は安全にこの場を去ろうと静かにドアへと歩いていく。


「…あ、起きてる」


ドアまであと数歩というところでドアが開き先程黒髪の隣にいた男がAの目の前に立っていた。どうやらしばらくは抜け出せないらしい、辺りを見渡しても包丁らしき物も置いていないし彼らは自分に何をしたいのかが全く分からない。


「千冬、こいつ起きてんぞ」


目の前の男が後ろを向きそう言ったのを他所に千冬と呼ばれる男は時期に私の方へ近付きこっちに来いと指示をする。この店は今日はもう閉店したらしく動物達が居ない静かな部屋に彼女は連れて行かれた。目の前にあるソファーに座らされほら、と何やら彼女に飲み物を手渡すが視線の先にあるコップをじっと見つめるだけで飲もうとしないAに黒髪の男は困るように顔を顰めた。


「…オイ、ココア飲めねえとか言うなよ」


「……睡眠薬が入ってそうだったから」


「はあ?そんな事しねえよ、てかオマエさっきまで寝てたろ」


「……」


そういえば彼女が着ていた血だらけだった服も脱がされていて今は腕の半分以上が隠れる程の大きなTシャツに着替えさせられていた。下を向くAを他所にため息をついたその男は彼女目の前に座り頬ずえをつく。


「んで?オマエはこないだから何してるわけ?」




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優しさ→←記憶



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レモン(プロフ) - みーさん» 素敵なコメントありがとうございます。自分も千冬と誕生日近いのでもしかしたら主様とも近いのかも知れません…!ぜひTwitterなどでお祝いさせてください。主様が何事にも頑張られている姿に少しでもお力添え出来るような作品になりますように。 (2021年8月30日 7時) (レス) id: 5c842a307a (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - miuchapinさん» 素敵なコメントありがとうございます。蘭の小説、連載中のもの以外にも考えておきますね…!新作もぜひご愛読くださいませ。 (2021年8月30日 7時) (レス) id: 5c842a307a (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 葛藤しながらも毎日更新している、努力されている所本当にすごいと思います。レモンさんの作品大好きです!千冬くんも推しで、自分の誕生日とも近いので楽しみです(*´-`)これからも応援してます! (2021年8月30日 0時) (レス) id: 9cd12cdcb5 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 完結、お疲れ様でした…!メリーバッドエンドに向かってるのかな、と思いきやハッピーエンドで涙が出そうになりました。小説ではないんですが、私も競争で他人と比べて、毎日自己肯定感が薄れていっているので気持ちはすごく分かります。文字数足りないので分けます… (2021年8月30日 0時) (レス) id: 9cd12cdcb5 (このIDを非表示/違反報告)
ha(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品を読んで作者様の言葉選びや展開の運び方が素敵で、他の作品も読む手が止まらなかったです。沢山葛藤もあった中完結させてくださったことに感謝を伝えたいです。私の推しである千冬のバースデー作品楽しみにしております! (2021年8月30日 0時) (レス) id: 37c839e9ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レモン | 作成日時:2021年8月7日 22時

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