共依存２【三途春千夜】

任務 ページ33

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「A、今日の任務着いて行ってやれねえけど一人で平気か？」


彼らと過ごしてきて数週間が経った頃、相変わらず春千夜との接点は無いが夜な夜な聞こえる銃声や物音に彼が暴れているのだろうかとも思う。

一週間程前の任務帰りに梵天のアジトをふらついていると偶然春千夜と出くわし向こうも咄嗟にAの名前を呼んだがいきなり現れた蘭に抱き着かれ彼と会話する事は出来なかった。少し長くなっていた彼の髪の毛や前までAが着ていた服を着ていた彼に愛おしさが増す中自分の恋心に蓋をしてしまいたかったAはその時は咄嗟に視線を逸らしてしまった。


「ありがとう竜胆、大丈夫だよ」


「仕事終わったら連絡しろよ」そう言ってAの頭を撫でる竜胆も日に日にスキンシップが多くなって気がしてならない。複雑な感情を紛らわすように仕事に熱心なAは今日も人を殺めていく。

生憎この界隈は裏切り者が後を絶たない、Aは悪魔で未成年なので死体処理や闇社会の取引等は行わせてもらっていない。基本肉体労働で梵天に貢献しており重い銃を片手に路地裏を駆け抜ける彼女の頭から少しずつ春千夜の存在が消え薄れている途中だった。


「最後に言い残すことは？」


そう言って銃の引き金に手を置く彼女に震えながら「家族が待っているんだ」と悲願する男を見るとAは顔を顰める。


『教えてくれ…お前はどんな気持ちで俺の家族を殺したんだ…？俺にはこんな事出来ねえよ…っ』


いつの日かそう言われてきた言葉達にAの身体は固まる。大切な人が居るなら裏切りなんてしなければ良いのに、そう思う程に自分の心は歪んでいるはずなのにこれも彼らなりの正義なのだと思うと引き金を引く指に力が入らない。

泣き叫ぶ悲痛の声に耳を塞ぎたくなる。「まだ死にたくない」そう嘆く人間を見るとどうも調子が狂う、そんなの自分だってこんな事したくない。殺さなくても良いなら殺したくない、幸せになって欲しい、同情してしまう程に自分の心は思っているよりも正常で今までこんな事思いもしなかった複雑さに目を瞑りそっと銃口の引き金を引き落とす。




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