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A side.



「……………この前はごめんね、
勝手に逃げ出したというか、なんというか」


樹「あー、………別にいいよ
あの人のことでしょ。Aがいま悩んでるの」





ピシャリと言い当てる樹はやっぱり勘が鋭い









樹「……………俺優しいから聞いてあげる」


「自分で言う?」


樹「……………で?告白でもされた?」



………………………………………話を聞け。









「告白……………されたよ。……………でも、……」


樹「……………一緒に住んでる男のこと?」


「…………………………うん。」








…………………………黎弥のことは好きだけど、

わたしにはどうしたって澤くんが必要だもん





澤くんとの日々を捨てるなんて、……出来ないよ。









樹「……………それ、……ちゃんと話しなよ。」




「え、……………?」



樹「……………Aはさ、
そうやっていつも一人で抱え込んで、
一人で全部解決しようとするでしょ。
だから俺はいらないんじゃないかって、
いつも不安だった。だから逃げたんだ。ごめん。」





 
初めて聞く樹の気持ちに胸が締め付けられる









樹「それに話して離れていくような奴じゃないでしょ?」







樹の言葉たちが胸にすーっと入ってくる。









樹「あの人かわいそうだよ
それにモテそうだしさっさとしないと取られちゃうよ?」


「…………………………やだ。」


樹「……………(笑)
うん。じゃあちゃんとぶつからなきゃ」









あの時ちゃんとぶつかっていたら
私と樹の未来は変わってたのかな










でも何をしたって過去は戻ってこないから














「⋯⋯⋯ありがとう、樹。
それとあの時は不安にさせてごめんね」



樹「⋯⋯⋯俺こそごめん。
でも俺、Aのこと好きになって本当によかった」





優しく笑う樹を見てずっと心の奥で
モヤモヤしていたものがすっと消えていった













もう一緒の道を歩むことはないけど
樹がどうかしあわせになれますように。

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作者名:m o n a . x他1人 | 作成日時:2019年10月28日 10時

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